路肩

路肩とは

路肩とは、道路の端に設けられた帯状のスペースのことです。道路の主要構造部を保護し、交通の安全と円滑化を図るために設置されています。一般的には、車道の両端に設けられており、緊急車両の通行、故障車両の待避、歩行者や自転車の通行などの多岐にわたる目的で使用されます。

路肩の設置目的

路肩は、以下のような目的で設置されます。

緊急車両の通行: 災害時や事故発生時など、緊急車両が通行できるように確保されます。
故障車両の待避: 車両が故障した場合、後続車との接触事故を防ぐために、路肩に一時的に停車することができます。
歩行者・自転車の通行: 歩道が設置されていない道路では、歩行者や自転車が安全に通行するために利用されます。
道路構造の保護: 路肩は、道路の舗装や構造を保護し、雨水の浸透を抑制する役割も担います。また、舗装の端部が破損した場合でも、路肩があることで通行を維持することができます。

国によっては、以下のような利用も行われています。

バス専用通行帯: 路肩をバス専用通行帯として利用し、公共交通機関の利便性を向上させます。
交通渋滞緩和: 一部の地域では、交通渋滞時に路肩を車線として利用することで、交通の流れを円滑化しています。この路肩の車線運用は、時間帯を限定して実施されることが多く、道路の状況に応じて柔軟に活用されています。

路肩の種類

日本の道路構造令では、路肩は幅員によって以下の3種類に分類されます。

全路肩: 幅員が2.35m～2.50mで、すべての車両が停車できるスペースを確保した路肩です。
半路肩: 幅員が1.25m～1.75mで、乗用車が停車できる程度の余裕がある路肩です。
* 狭路肩: 幅員が0.50m～0.75mで、車両の走行に必要な最小限のスペースしかない路肩です。

また、歩道や自転車道が設置されている場合は、道路の主要構造部の保護や車道の効用を保つ上で支障がない場合に限り、路肩を設置しない、または幅を狭くすることができます。

路肩の構造

路肩は、原則として車道と同じ高さで舗装されています。これにより、歩行者や自転車が安全に通行できます。ただし、トンネルや橋梁などの構造物では、建築限界との兼ね合いから、路肩の一部が一段高くなっている場合があります。また、路肩は自動車の荷重に耐えられるように設計されています。

路面排水

第3種・第4種の道路で歩道が設けられている場合、車道と歩道の間に路面排水のための溝が必要となります。この溝は、原則として路肩内に設けられます。溝は車両の荷重に耐えられるように設計されているほか、自転車の安全性を考慮し、段差や溝をなくし、平坦で滑りにくい構造とする必要があります。また、盛土部の道路では、路肩の端に縁石を設けることで、効率的に雨水を集めることができます。

路肩に関する法規制

日本の道路法では、路肩の構造は道路構造令に、路肩の通行は車両制限令にそれぞれ規定されています。

路肩の通行制限

車両制限令では、歩道や自転車道がない道路において、自動車（二輪車や原付は除く）やトロリーバスが路肩にはみ出して走行することを禁止しています。これは、路肩が自動車の走行を想定して作られていない場合があるため、路肩の損傷や脱輪事故を防ぐためです。ただし、緊急時や警察官の指示がある場合は、この限りではありません。

また、路肩の構造が明確でない道路では、自動車やトロリーバスの車輪は路端から50cm以内、トンネルや橋梁などでは25cm以内にはみ出してはならないとされています。

軽車両の通行

自動二輪車や原付、自転車などの軽車両は、車両制限令では路肩への進入が禁止されていません。しかし、道路交通法の規定に従って通行する必要があるため、左側通行や左側追い越し禁止などのルールを守る必要があります。

また、路肩が白線で明示されている場合は路側帯となるため、右左折時の横断などの例外を除き、通行はできません。

海外の路肩

海外でも、路肩は道路の安全と円滑な利用のために重要な役割を果たしています。

ドイツ

ドイツでは、アウトバーンをはじめとする高速道路で、交通渋滞時に路肩を車線として開放する運用が行われています。これにより、交通の流れを円滑化し、渋滞の緩和に貢献しています。

アメリカ・カナダ

アメリカやカナダでは、バスが路肩を走行することが認められている場合があります。これにより、バスの定時性を確保し、公共交通機関の利便性を向上させています。

イギリス

イギリスの一部高速道路では、路肩を時間帯によって走行可能にする運用が行われています。これにより、交通渋滞の緩和と所要時間の短縮を実現しています。

まとめ

路肩は、道路の安全と円滑な利用を支える重要な要素です。その役割は、緊急車両の通行や故障車両の待避、歩行者や自転車の通行など多岐にわたります。また、道路構造の保護や雨水排水の役割も担っています。路肩を正しく理解し、適切に利用することで、より安全で快適な道路交通を実現することができます。

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