盛土

盛土（もりど）

盛土とは、地面を盛り上げて平坦な地表を形成する工法を指します。この工法は、低い地盤や斜面に土砂を加えることにより、安定した地面を作る目的で行われます。主に三つの目的があり、第一に建物や道路、鉄道を支えるための基盤作り、第二にダムや堤防による水の管理、第三に土砂の一時的な保管や作業用の土台確保です。

盛土の工事

盛土工は、地盤に計画した通りに土や岩を積み上げる作業であり、また水域や窪地に土砂を入れて形成する工事は埋立と呼ばれます。盛土により生じた斜面は法面（のりめん）と呼ばれ、これらの工程は確実に行う必要があります。

用語的には、専門的な文脈で「盛土」とのみ表記し、読みは「もりど」とされますが、国語辞典では「もりつち」という表記も見られます。このように異なる用語が使われるのは、土地収用法や各種法令に応じた使い分けによるものです。

用途と技術

盛土は宅地造成や道路の敷設、河川堤防の工事にも利用されます。宅地造成では、盛土した地盤が元の土に比べて密度が薄いため、特に締固め作業が不可欠です。道路工事では、これを基に舗装する場合もあれば、盛土を行ってから舗装をおこなうこともしばしばあります。河川堤防を築く際には、盛土の防水性にも配慮が求められます。

工法の多様性

技術的には、軽量材料を用いる軽量盛土工法があり、これは土の重さを軽減することで基盤への負担を減らし、沈下を防止します。代表的な工法として、EPS工法（発泡スチロールを使用）やFCB工法（気泡セメントを利用）などがあり、それぞれ特有の利点があります。これらの工法は急勾配地など様々な条件下で盛土を行う際に有効です。

材料と工程

盛土の材料は主に再利用可能な現地土や岩が使用され、急勾配の盛土構築には特に注意が必要です。工事は丁張りやトンボと呼ばれる印を使って行い、木杭を打って高さを測ることから始めます。土を盛り立てる際にはブルドーザーなどの重機が使用されます。

変状とその対策

盛土の変状には、沈下、亀裂、すべり崩壊といった問題があります。特に雨水の浸入はこれらを悪化させる要因となり、迅速な対処が必要です。例えば、亀裂が発生した場合はブルーシートで覆い、水の浸入を防ぐ応急処置を施します。

規制と災害の影響

日本においては、盛土に関する規制が強化されています。特に、2018年の北海道胆振東部地震や2021年の熱海市土石流災害を受け、盛土造成の調査や新たな規制が導入されました。今後さらなる規制強化が見込まれており、住宅地や公共事業での慎重な盛土工事が求められるでしょう。

まとめ

盛土は、多様な技術を有し、地盤の安定性を高めるために欠かせない工法です。しかし、災害や事故、さらには規制を強化する動きと合わせて、施工時にはより高い注意と技術が求められることが予想されます。

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