踊るニュウ・ヨーク

踊るニュウ・ヨーク：華麗なるダンスと夢の物語

1940年、アメリカで製作公開されたミュージカル映画『踊るニュウ・ヨーク』（原題：Broadway Melody of 1940）は、フレッド・アステアとエレノア・パウエルという、当時を代表するスター俳優の共演により、多くの観客を魅了した作品です。ビデオ化の際には『踊るニューヨーク』という表記も用いられています。

本作は、アステアにとって『ダンシング・レディ』（1933）以来、7年ぶりのMGM作品への出演となります。監督はノーマン・タウログ、相手役は『踊る不夜城』（1937）に続く出演となるエレノア・パウエルが務めました。

ストーリー：ブロードウェイのきらめきと恋

物語は、ダンスホールで働く貧しいダンスコンビ、ジョニー・ブレット（フレッド・アステア）とキング・ショー（ジョージ・マーフィ）から始まります。一方、ブロードウェイで輝く大スター、クレア・ベネット（エレノア・パウエル）は、プロデューサーのボブ・ケイシー（フランク・モーガン）から、新作ブロードウェイ公演でのダンスパートナーを探されていました。

ケイシーは誤解からショーにオファーをしてしまい、コンビは解消。しかしジョニーはクレアの新しいパートナーとして抜擢されます。当初は意気消沈していたショーでしたが、ジョニーの活躍を見て、彼を応援するようになるのです。

クレアはジョニーの卓越したダンススキルに惹かれ、ランチを共にするうちに恋に落ちます。しかし、初日公演でショーが酔いつぶれてしまうハプニングが発生。ジョニーが代役を務め、見事な成功を収めます。ショーは自分が成功させたと思い込んでいますが、クレアは真実を彼に告げます。

次の公演直前、再びショーが酔っ払ってしまう事態に。ジョニーは正式にクレアの相手役となり、公演は再び成功をおさめます。閉幕後、クレアとジョニーは、ショーが酔っ払ったふりをし、ジョニーの仕事を守ろうとしていたことに気付くのです。

キャストとスタッフ：豪華な顔ぶれ

本作には、フレッド・アステア、エレノア・パウエルの他にも、ジョージ・マーフィ、フランク・モーガン、イアン・ハンターなど、多くの実力派俳優が名を連ねています。監督はノーマン・タウログ、製作はジャック・カミングス。作曲にはコール・ポーターを始めとするそうそうたる顔ぶれが参加しており、音楽面でも高いクオリティを誇ります。撮影、編集、美術、衣装など、スタッフ陣も映画界の第一線で活躍するベテランたちが集結し、作品全体の完成度を高めています。

音楽：コール・ポーター楽曲の魅力

映画を彩る楽曲は、コール・ポーター作の「Please Don't Monkey with Broadway」、「Between You and Me」、「I've Got My Eyes on You」、「I Concentrate on You」、そして「Begin the Beguine」など、名曲揃い。これらの楽曲は、映画の華やかな雰囲気をさらに高め、観客を魅了する要素となっています。特に「Begin the Beguine」は、壮大なビッグバンドジャズの演奏と共に、アステアとパウエルの息の合ったダンスシーンが印象的です。

製作の舞台裏：MGMとブロードウェイ・メロディ・シリーズ

本作は、ジャック・マクゴワンとドア・シャリーの話に基づいて製作されました。当初はテクニカラーでの撮影が予定されていましたが、第二次世界大戦の影響で白黒での製作となりました。『ブロードウェイ・メロディ』（1929年）、『踊るブロードウェイ』（1935年）、『踊る不夜城』（1937年）と続く「ブロードウェイ・メロディ・シリーズ」の4作目にして最後の作品であり、エレノア・パウエルにとって最後のヒット作となりました。

アステアはRKOを離れてからMGMに移籍し、本作で初めて主演を務めました。アステアとパウエルは、お互いを認め合い、リハーサルにも熱心に取り組んだと伝えられています。1939年9月から11月にかけて撮影が行われ、「Begin the Beguine」のセットには12万ドルもの費用がかけられました。

受賞と評価：後世への影響

『踊るニュウ・ヨーク』は、アメリカン・フィルム・インスティチュートによる「アメリカ映画主題歌ベスト100」に「ビギン・ザ・ビギン」がノミネートされるなど、高い評価を得ています。華麗なダンスシーン、魅力的な音楽、そして心温まるストーリーが三位一体となった本作は、今もなお多くのファンを魅了し続ける、名作ミュージカル映画として語り継がれています。

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