蹴鞠

蹴鞠（けまり）

概要

蹴鞠は、鹿革製の鞠を使い、高さを2.5倍まで蹴り続ける競技です。平安時代に流行し、鎌倉時代から室町時代初期にかけて芸道として確立され、今でも受け継がれています。

歴史

中国における蹴鞠

中国では、蹴鞠の起源は4000年前の殷の時代にまで遡ります。雨乞いの儀式として行われ、鞠を空中に蹴り上げることで天と地のバランスを整えようとしたと言われます。日本の蹴鞠と同じく、足を使ってボールを蹴る形式の遊びとして発展しました。

その後、漢代には12人のチームによる競技として発展し、唐代にはルールが多様化しました。宋代になると、個人や小グループで技を披露するスタイルに変わり、これは日本の蹴鞠にも影響を与えました。

日本の蹴鞠

日本には飛鳥時代末期から奈良時代初頭に伝わったとされ、644年には中大兄皇子が法興寺で「鞠を打った」ことが記録されています。この史実は後に蹴鞠と関連付けられ、大化の改新のきっかけとなったという言い伝えもあります。701年には初の蹴鞠会が開催され、その後平安時代の宮廷競技として広まりました。

貴族たちは専用の鞠場を設け、練習に励んだと言われています。清少納言の『枕草子』でも、蹴鞠のことが「面白い」と言及されており、その重要性が伺えます。鎌倉時代には、蹴鞠の作法や技術が整備され、室町時代には武家の嗜みとしても行われるようになりました。

現代の蹴鞠

明治維新後は衰退しましたが、1907年に蹴鞠保存会が設立され、現在も保存活動が行われています。2018年には「けまり鞠遊会」が設立され、伝統的な鞠作りや競技が行われています。

ルールと技術

蹴鞠は四隅に木が立てられた庭で行われ、1チーム4〜8人で構成されます。鞠を落とさずに蹴り続けることが目的で、さまざまな技術が求められます。現代では、6〜8人でのチーム戦が一般的です。

蹴鞠には「上鞠」や「請鞠」などの伝統的な用語があり、特定の作法に従って行われます。例えば、「一段三足」と呼ばれる技術で、受け鞠や自分の鞠を渡すことが求められめます。本格的な競技では、非常に高い技術が必要です。

蹴鞠の道具

遊戯に使用する鞠は、鹿の革を二枚縫い合わせ、中空にしたものです。鞠は直径19センチ前後、重さは100〜110グラムとされ、サッカーボールよりも一回り小さいサイズです。

蹴鞠の文化と影響

蹴鞠は日本の歴史に深く根ざしており、今日でも多くの神社で行事として実施されています。また、メディアでも取り上げられ、サッカーの日本サッカー協会のシンボルマークのモチーフともなっています。

多様な文化的背景を持ちながらも、蹴鞠は若い世代にも受け入れられ、新たな愛好者が増え続けています。その魅力に触れ、ルールを学びプレイすることで、伝統的な技術や文化を継承していくことが期待されます。

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