身体醜形障害

身体醜形障害（BDD）

身体醜形障害（Body Dysmorphic Disorder, BDD）は、自分の身体について過剰に気にする精神的な障害であり、特に容姿に対する強い不安や自己評価の低下が特徴です。この障害は「醜形恐怖症」とも呼ばれ、患者は自分の容貌に対して妄想的に醜いと感じ、鏡を見ることや他人と接触することが苦痛になります。特にこの疾患は、自己の身体に対する客観的な評価ができなくなり、不安や抑うつ症状を引き起こす要因となります。

概要

身体醜形障害は、精神医学の分野で認知されている障害であり、特に美容や醜さに対する意識が過度に強まることが特徴です。DSM-5（精神障害の診断と統計マニュアル第5版）では、強迫性障害関連症群に分類されています。この障害を持つ人々は、自らの容姿に関する具体的な欠陥を認識し、これに対する不安を抱くことが多いです。

本障害の有病率は約0.5%から0.7%とされており、うつ病や社会不安障害、摂食障害など他の精神疾患と併発することがあります。そのため、身体醜形障害は生活の質を著しく低下させる可能性があります。特に、整形手術を受けた人々は、自殺リスクが高いとも言われており、これは過度な自己評価の低下が原因と考えられます。

歴史と診断

「醜形恐怖」という言葉は19世紀に初めて提唱され、その後、身体全体に対する意識が強くなったことで「身体醜形障害」という名称が一般に使われるようになりました。この障害は、外見に対する不安が日常生活や社会的関係に影響を及ぼすため、診断には注意が必要です。たとえば、周囲の人々が持つ評価や意見が、患者の心理状態をさらに悪化させることがあります。

特徴と症状

身体醜形障害を抱える人々は、特定の身体部位に強いこだわりを持つことが多く、外見について何度も鏡で確認したり、他人の視線に敏感になったりします。アメリカの調査によると、最も気にされる箇所は髪の毛であり、次いで鼻や皮膚などが挙げられます。
また、症状が進行すると、外見に関する確認行為が強迫的になり、常に自分の容姿を気にするため、社会から孤立するケースも多いです。

心理的要因と治療法

この障害には、強迫性障害やうつ病などの関連症状が深く関与しています。患者は、自分自身や外見に対する評価が歪んでおり、自己肯定感の低下が見られます。治療法としては、認知行動療法（CBT）や森田療法が効果的とされています。

特に認知行動療法では、患者が自己の認識を見直し、非現実的な自己評価と戦う方法を学ぶことが含まれます。また、家族や周囲の人々による支援も重要であり、その中で症状に対する理解を深めることが求められます。

結論として、身体醜形障害は深刻な精神的苦痛を伴う障害であり、患者の社会生活や心理的健康に多大な影響を及ぼすことがあります。そのため、適切な治療と支援が不可欠です。

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