身分犯

身分犯とは

身分犯（みぶんはん）とは、ある特定の身分を持つことが、その犯罪を成立させるための要件となる犯罪のことを指します。このような犯罪は、行為者の地位や状況によってその法律的評価が変わることがあります。

身分犯の種類

身分犯は、大きく分けて「真正身分犯」と「不真正身分犯」の二種類に分類されます。

真正身分犯

真正身分犯は、構成要件において行為者が特定の身分を有しない限りは、その犯罪が成立しないというものです。例えば、収賄罪はこの真正身分犯にあたります。収賄罪の場合、公務員などの特定の身分を持つ者が贈賄を受けることにより、初めて犯罪が成立します。したがって、一般市民がこの行為を行った場合、法律上では犯罪と認定されません。

不真正身分犯

一方、不真正身分犯は、構成要件において特定の身分を持つことで、法定刑が加重または減軽される犯罪を指します。例えば、業務上横領罪がこの不真正身分犯にあたります。この場合、特定の職務や役職を持つ者が業務上の横領を行えば、より重い刑罰が科される可能性がありますが、職務を持たない者が同様の行為を行っても、それに比べて軽い扱いを受けることになります。

身分犯と共犯

身分犯に関連する共犯の問題についても注目が必要です。例えば、真正身分犯にあたる犯罪行為において、身分を持たない者が加担した場合、共犯としての扱いや法的責任について議論が生じます。また、不真正身分犯においても、身分のない者の関与がどのように評価されるのかについての問題が存在します。

特に日本の刑法では、身分に基づいた犯罪の成立要件が厳密に規定されているため、これらの判断は非常に繊細です。たとえば、真正身分犯である収賄罪の場合、行為者が公務員でなければならないため、その公務員が主導的に犯行を行った場合、他の身分を持たない者の加担がどのように影響を及ぼすのかが問題となります。

まとめ

このように、身分犯は行為者の地位や職務によって犯罪の有無やその重さが変わる特殊な犯罪です。真正身分犯と不真正身分犯の違いを理解することは、法律の適用や刑事責任の判断において非常に重要です。また、身分に関連する共犯の問題も、法理論や実務の上で興味深いテーマであり、さらなる研究や議論が求められています。

もう一度検索