身洗沢遺跡

身洗沢遺跡の概要

身洗沢遺跡（みあらいざわいせき）は、山梨県笛吹市に位置し、弥生時代から古墳時代にかけての貴重な遺跡です。この遺跡は、地域の小字にその名を由来しています。

立地と歴史的背景

この遺跡が存在する笛吹市南地区は、甲府盆地の南東部に位置し、御坂山地から流れる浅川扇状地の一部にあたります。標高約270メートルの傾斜地にあり、周囲には弥生時代から平安時代にかけての他の遺跡も多く存在しています。山梨県では、弥生前期から稲作を含む文化が広がっていたと考えられていますが、弥生時代の遺跡は全体的に少なく、特に弥生後期には甲斐市や南アルプス市に集落が形成されていました。身洗沢遺跡は、埋没旧川上に位置しており、他の遺跡との関連も取り沙汰されています。

発掘調査の経緯

1988年、笛吹市内で県道310号線の建設に伴う工事の際に試掘調査が行われ、遺跡の存在が明らかになりました。翌1989年には本格的な発掘調査が行われ、弥生後期の竪穴建物跡や水田跡、そして古墳前期の遺構などが発見されました。この際に、土器、木製品、その他の遺物も一緒に出土しています。

発見された遺構と遺物

調査の結果、弥生時代の調査区北側では、内部に施設を持つ竪穴建物跡が見つかり、それぞれ異なる素材が使用されていたことがわかりました。水田跡は、周辺の自然条件と相まって、全体の農業の様子を伺わせる貴重な証拠となっており、水田には足跡や植物の遺存体が発見されています。

出土した弥生土器は、主に中央高地型の櫛描文を持つものが中心で、他に東海系の土器も見つかっています。さらに、弥生時代の水田跡からは、鍬や木製品などの農具が発見され、農業活動の様子を伝えています。また、古墳時代の遺構も数多く発見され、その中には焼失した建物や多種多様な遺物があります。これらの遺物は、山梨県の考古学的資料として貴重なものとされています。

現在の状況と保存

身洗沢遺跡から出土した遺物は、山梨県埋蔵文化財センターに保管されており、一部は山梨県立考古博物館で展示されています。また、1996年には特に重要な木製品の一部が、県の指定文化財として認定されました。

このように、身洗沢遺跡は地域の歴史を探求する上で欠かせない資源であり、その遺構や遺物は、弥生時代から古墳時代にかけての人々の生活を今に伝える重要な証拠となっています。

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