軌道自転車

軌道自転車：線路を駆ける乗り物

軌道自転車とは、線路上を走行する人力またはエンジン駆動の車両です。かつては自転車やオートバイの部品を流用したものが多かったですが、現在では各メーカーが専用車両を製造しています。レールバイクとも呼ばれ、その用途や種類は多岐に渡ります。

多様な種類と用途

軌道自転車は大きく分けて、観光用と保線作業用があります。

観光用軌道自転車は、廃線となった鉄道線路を活用した観光施設で利用されるケースが多いです。数キロメートルから十数キロメートル程度のコースが設定されており、春から秋にかけて、週末などに営業されることが一般的です。日本では「レールマウンテンバイク」として親しまれ、参加者が自ら運転する体験型の観光として人気を集めています。美幸線廃線のトロッコ王国美深や、高千穂鉄道廃線の高千穂あまてらす鉄道などがその代表例です。海外でも、ヨーロッパの山岳観光地や韓国などで、廃線跡の有効活用として導入されています。

一方、保線作業用軌道自転車は、鉄道の保守点検に利用されます。線路の巡回や軽作業、災害時における緊急対応など、幅広い場面で活躍します。エンジン駆動のものが多く、前進だけでなく、逆進可能な機種も存在します。運転方法は、バイクのようなスロットル操作や、アクセルとブレーキが一体となったレバー操作など、機種によって異なります。近年では、環境への配慮から電動式の軌道自転車も開発されており、JR東海では日産リーフのリチウムイオンバッテリーを再利用した回生ブレーキ付きの電動式軌道自動自転車の実証試験が行われています。ガソリンエンジン式から電動式への置き換えは、CO2排出量の削減にも大きく貢献すると期待されています。

さらに、鉱山鉄道での使用例や、ロシア東部など一部地域では、住民が私的に利用する例もあるようです。

歴史と技術

日本の軌道自転車の歴史は古く、1950年代には大宮富士産業（旧・中島飛行機のエンジン部門）が原動機付きの軌道自転車を製造していました。これが「レールスター」と呼ばれる所以です。その後、技術革新が進み、エンジン駆動方式に加え、2010年にはモーター駆動の電動式も登場しました。近年は、環境問題への意識の高まりから、電動化が加速しています。

まとめ

軌道自転車は、観光から保線作業まで、様々な用途で活躍する多様な車両です。その歴史と技術革新は、鉄道の歴史と密接に関連しており、今後も環境問題への対応など、更なる進化が期待されています。 電動化の進展は、環境負荷軽減と効率向上に貢献するだけでなく、鉄道の未来を担う技術として、重要な役割を果たすでしょう。

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