軍艦じゃんけん

軍艦じゃんけん(ぐんかんじゃんけん



軍艦じゃんけんは、一般的なじゃんけん遊びから発展した、主として二人で行われるゲームです。その名称は地域によって異なり、「軍艦」や「戦争」と呼ばれることもあります。

ルール



基本的なルールはじゃんけんの手(グー、チョキ、パー)を使いますが、それぞれに特別な呼び名がつけられています。代表的な例では、グーを「軍艦」、チョキを「沈没」、パーを「破裂」と呼びますが、この名称にも様々な地域差があります。

ゲーム開始に先立ち、まずは通常のじゃんけんで親を決めます。「せーんーそ!」や「ぐーんーかん!」といった独特のかけ声(これも地域によって多様です)とともにじゃんけんを行い、勝った方がそのセットの親となります。親は以降のかけ声の進行を担当します。

ゲームはセットを繰り返して進行します。親は「軍艦」「沈没」「破裂」のいずれかの手を任意に選び、特定のかけ声とともに3回連続で出します。子は親のかけ声に合わせて任意の手を3回出します。これが一連の流れ(1セット)となります。多くの場合、1セット内の1回目と2回目に出す手は同じで、2セット目以降の1回目と2回目の手は、前のセットの3回目に出した手と同じにするという進行方法がとられます。例えば、「軍艦軍艦沈没!」と続いた次のセットでは、「沈没沈没破裂!」のように開始します。ただし、1セット内で1回目と2回目の手を敢えて変えるバリエーションも存在します。

勝敗は主に、1セットの最後、つまり3回目に出した手で競われます。勝敗の判定方法にも複数のパターンが存在します。

  • - 例1: 親が子に勝つとゲーム続行。親が子に負けると親交代。親と子が同じ手(あいこ)の場合は親の勝利となり、ゲーム終了(または親に1得点)。
  • - 例2: 親と子があいこの場合はゲーム続行。親が子に負けると親交代。親が子に勝つと親の勝利となり、ゲーム終了(または親に1得点)。
  • - 例3: 親が子に負けると親交代。親が子に勝つかあいこの場合は親に1得点(このルールは点数先取制で遊ぶのが一般的です)。

また、最初の親決めのじゃんけんの後、「せーんーそ」のかけ声で始めたじゃんけんで、どちらかが勝つまで続け、勝った側がかけ声担当となります。そこから3回連続であいこが続くと勝ち、という特殊な勝利条件を持つルールもあります。この場合、あいこが続いた際には「一本取って〇〇(任意の手)」、「二本取って〇〇」、「三本取って勝利」といったかけ声が用いられます。途中でどちらかがじゃんけんに勝ってあいこが途切れた場合は、勝った側が改めて「軍艦軍艦破裂!」のような通常のかけ声でセットを再開します。

遊び方のバリエーション



ゲームの進行だけでなく、身体的なアクションを加える遊び方もあります。一般的なのは、二人で向かい合い、じゃんけんをしない方の手をつないだり、軽く握手する形をとったりする方法です。

親が1セットの勝負で優位に立った場合(上記の勝敗ルール参照)、次のセットへの移行時に、相手の手を叩くアクションが加わることがあります。例えば、親が勝利した場合、「一本とって…」と言いながら、つながずに空いている方の手で相手の手の甲を軽く叩く、といった動作をします。このときのかけ声は「一本とって(任意の手)!」となり、次のセットへ続きます。点数を重ねるごとに「二本とって」「三本とって」と、かけ声が変わっていく場合もあります。

この手叩きを伴うルールでは、あらかじめ決めた点数(例えば3点)を先に取った方が勝ち、とする「点数先取制」で遊ぶのが一般的です。あるいは、どちらかが痛くて続けられなくなるまで遊ぶ、という形式もあります。手を叩く動作も手の形(グー、チョキ、パー)によって変えるバリエーションがあり、チョキならチョップやしっぺ、グーなら軽くげんこつ、パーなら軽い張り手、といったルールが見られます。さらに、これを「おやじ」と呼び、グーを「ゲンコ」、チョキを「目潰し」、パーを「ビンタ」と呼称するバリエーションも存在します。

地域によるバリエーション



軍艦じゃんけんは地域差が非常に大きい遊びです。特に、手の呼び名と最初のじゃんけんのかけ声には、数多くのバリエーションが見られます。

  • - 手の呼び名: グーは「軍艦」「グアム」「アメリカ」、チョキは「朝鮮」「沈没」「艦長」「ピストル」、パーは「ハワイ」「破裂」「パラグアイ」「ロシア」など、国名や軍事に関連する言葉、または響きの似た言葉が多岐にわたって使用されます。
  • - 最初のかけ声: 「軍艦じゃんけんほーい」「せーんーそ」「ぐーんーかん」「ぽーちけた」「ちっけった」「じっけった」「おっちゃんちっ」「ハーワーイ」「デンジャラス」「朝鮮行ってパン買って軍艦乗って帰ってきた」「ポンチキポン」など、聞いただけではルールが想像しにくいほど多様なかけ声が存在します。

歴史



軍艦じゃんけんの正確な起源は明らかではありませんが、その名称や手の呼び名に軍事用語が多く含まれることから、戦時中に自然発生的に広まった遊びではないかと考えられています。2010年代中頃にも一部の子供たちの間で遊ばれていることが確認されており、現在でも主に小学校の児童などの間で受け継がれている遊びの一つです。

関連項目



じゃんけん
ドンパッパ
* 水雷艦長

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