軽部征夫

軽部征夫の生涯と業績

軽部征夫（かるべ いさお、1942年1月27日 - 2020年2月8日）は、日本の著名な生物工学者であり、特にバイオニクスやプロセス工学、ナノやマイクロ科学において顕著な貢献をしました。東京大学の名誉教授である彼は、また東京工科大学の学長を務め、工学博士としての業績は広く評価されています。

幼少期と教育

東京都で生まれ育った軽部は、立川市出身で、子供の頃から海外に対する憧れを抱いていました。そのため、船の乗組員を目指して東京水産大学に入学。しかし、大学の実習で船酔いを経験し、その夢は断念することとなります。その後、酵素の研究に興味を持ち、東京工業大学大学院へと進学し、バイオセンサー研究へと方向転換しました。大学院では指導教授の推薦でイリノイ大学に進学し、基礎医学の研究に没頭しました。

帰国後、バイオエレクトロニクスの研究を行い、世界でもトップグループに位置する研究室を指導することになりました。以降の研究成果は国内外で評価され、数多くの学術賞を受賞し続けたことで、彼の名声は高まりました。

教職と学長としての役割

軽部は、慶應義塾大学からの打診を受けて赴任予定でしたが、東京工科大学の学長である相磯秀夫からの誘いに応じ、同大学での研究環境に価値を見出しました。彼は東京工科大学で教鞭を執る傍ら、研究活動も続けました。2008年には同大学の学長に就任し、大学改革に積極的に取り組むことになります。

彼は、数十名の研究者を集めて自由な研究環境を整え、多くの優れた研究成果を生み出しました。特に、他分野との連携を重視し、バイオニクスの分野での新たな可能性を広げました。彼の業績は後進の研究者にとっても多くの学びを提供するものでありました。

受賞歴と貢献

軽部は数多くの受賞歴を持ち、1986年の日本化学会学術賞をはじめとし、数々の賞を受賞しました。彼の研究はバイオテクノロジーの分野で国際的にも評価を受け、2002年にはバイオセンサー国際賞を獲得しています。さらに、2020年には瑞宝中綬章を受勲し、確固たる地位を築きました。

また、多数の著書を執筆し、専門書から一般向けのものまで幅広く書かれています。『ヒト・ゲノムの暗号を読む』や『クローンは悪魔の科学か』など、彼の著作は一般の理解を助け、バイオニクスについての重要性を広めました。

最後の時

2020年2月8日、軽部は東京都内の病院で亡くなりました。享年78歳。彼の早すぎる死は、日本の生物工学界に大きな損失をもたらしましたが、彼が残した数々の業績や影響は今後も語り継がれていくことでしょう。

彼の業績は、これからの科学の発展において引き続き重要であり、未来の研究者に多くのインスピレーションを与え続けることでしょう。

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