輔仁堂

輔仁堂とその歴史

概要

輔仁堂（ほじんどう）は、大分県竹田市の豊後岡藩で開かれた私塾で、江戸時代の儒学者である関幸甫が創設者です。彼の私邸内に設置されたこの学問所は、やがて藩立の教育機関として成長し、藩校「由学館」や「修道館」へと発展していきました。計画的な教育体制の整備と文教振興に寄与した輔仁堂の歴史は、地域の学問文化の発展を支えてきました。

歴史的背景

輔仁堂の設立は1696年（元禄9年）で、当時の藩主中川久恒によって藩儒として招かれた関幸甫が竹田村杣谷に移り住み、藩士の教育を目的として開校しました。近隣の学問環境が整っていなかったことから、私塾としての輔仁堂は多くの藩士にとって貴重な学びの場となりました。
1726年（享保11年）には、この私塾が藩立の教育機関に改組され、その後1776年（安永5年）には「由学館」と改称され、さらに文教の振興が図られました。

学問所の沿革

輔仁堂はその後、3度の移転を経て発展していきました。

• - 1696年 (元禄9): 関正軒が私塾「輔仁堂」を開設。
• - 1726年 (享保11): 藩立「輔仁堂」となる。
• - 1776年 (安永5): 藩校「由学館」に改称、文教振興のための拡張・改築が行われる。
• - 1782年 (天明2): 伊豆坂に移転、交通の便と校地の拡張が図られる。
• - 1832年 (天保3): 校舎老朽のため、近戸へ移転し、「由学館」として再編される。
• - 1868年 (明治1): 「経武館」の合併に伴い「修道館」となる。

教育内容と教授陣

由学館では、漢学や習字、算術が主な授業内容であり、維新後には和学や洋学、医学なども含まれるようになりました。
教授陣には、伊藤鏡河（徂徠学）、小畑鹿太（国学）、角田九華（朱子学）などが名を連ね、多岐にわたる学問が体系的に教授されていました。特に、輔仁堂の名前の由来は『論語』の一節にあり、学を通じた友情や相互扶助の重要性を示しています。

現在への影響

由学館が経武館と合併して修道館となった1871年（明治4年）までに、地域教育の中心的存在となった輔仁堂の成果は、後の大分県立竹田高等学校に引き継がれています。修道館の跡地には現在も竹田高等学校が存在し、歴史的な重要性を持つ場所として保存されています。

結論

輔仁堂は、単なる私塾に留まらず、豊後岡藩の学問文化の礎を築いた教育機関です。この私塾が築いた伝統と学びの精神は、今も地域に根づいています。教育の重要性を再確認し、歴史を通じて学ぶ意義を感じ取ることができる場所です。

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