角田九華

角田九華は、天明4年（1784年）に生まれ、安政2年12月28日（1856年2月4日）に没した江戸時代の儒学者です。本名は簡、字は大可または廉夫、通称は才次郎といい、九華山房と号しました。

九華は豊後国岡藩の藩士である仲島休治の子として大坂藩邸で生まれましたが、幼くして孤児となりました。その後、同じ岡藩の藩士であった角田東水の養子となり、儒学者の中井竹山に師事しました。若くしてその才能を発揮し、10代の頃には藩の地誌である『豊後国志』の編纂を命じられ、これを完成させました。

養父である東水の遺言に従い、九華は岡藩に仕えることを決意し、角田家を継いで藩校である由学館の教官となりました。その後、再び大坂に出て竹山の元で学びを深めました。由学館では句読の師を務め、侍読から組頭班・用人見習を経て近習物頭にまで昇進しました。

また、九華は詩人としても知られ、頼山陽と漢詩を交わすなど、文化人として交流がありました。多くの著作を残しましたが、羽倉簡堂に「等身述作」と評されたにもかかわらず、そのほとんどが散逸してしまい、現在に伝わっているものはごくわずかです。

現存する著作としては、『近世叢語』、『続近世叢語』、『近世人鏡録』、『孔子履歴考』などが挙げられます。

参考文献
* 中村真一郎『頼山陽とその時代』（1971年、中央公論社）

もう一度検索