輸入してはならない貨物

日本の輸入禁止貨物に関する解説

日本への輸入が法律で禁止されている貨物について、詳細に解説します。これらの貨物は、関税法69条の11第1項で規定されており、麻薬や銃器、爆発物といった危険性の高いものから、知的財産権を侵害する物品、わいせつ物など多岐に渡ります。

輸入禁止貨物の種類

具体的に輸入が禁止されている貨物は以下の通りです。

1. 麻薬・覚せい剤等: 麻薬、向精神薬、大麻、アヘン、けしがら、覚せい剤（覚醒剤取締法でいう覚せい剤原料を含む）、あへん吸煙具などが含まれます。ただし、政府や法令で輸入が認められたものは除かれます。
2. 銃器・弾薬: 拳銃、小銃、機関銃、砲、これらの弾薬、拳銃部品などが該当します。法令で許可された輸入は除かれます。
3. 爆発物: 爆発物取締罰則で定義される爆発物が対象です。ただし、銃器や火薬類に該当するものは除かれます。法令で許可された輸入は除かれます。
4. 火薬類: 火薬類取締法で定義される火薬類が該当します。銃器に該当するものは除かれます。法令で許可された輸入は除かれます。
5. 化学兵器: 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律で規定される特定物質が該当します。条約や法令で許可された輸入は除かれます。
6. 特定病原体: 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律で規定される一種病原体等及び二種病原体等が該当します。法令で許可された輸入は除かれます。
7. 偽造・変造品: 貨幣、紙幣、銀行券、印紙、郵便切手、有価証券などの偽造品、変造品、模造品、不正に作られたカードなどが含まれます。ただし、法令で許可されたものは除かれます。
8. わいせつ物: 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品、児童ポルノが該当します。
9. 知的財産権侵害物品: 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権、育成者権を侵害する物品が該当します。
10. 不正競争防止法違反物品: 不正競争防止法で定義される不正競争行為に該当する物品が対象となります。

上記のうち、麻薬・覚せい剤、児童ポルノ、知的財産権侵害物品、不正競争防止法違反物品は、輸出も禁止されています。

税関の手続きと罰則

輸入禁止貨物が輸入されようとした場合、税関長は没収し廃棄するか、積戻しを命じることができます。特に知的財産権侵害物品については、認定手続きを経る必要があります。わいせつ物については、輸入禁止に該当する相当な理由がある場合に限り、輸入禁止の通知が行われ、所有者は自主的に廃棄または積戻しを行うことになります。

輸入禁止貨物を輸入した場合、またはその予備罪については、貨物の種類によって罰則が異なります。

1号～6号（銃器、麻薬など）: 7年以下の懲役または3000万円以下の罰金、またはその両方
7号～10号（わいせつ物、知的財産権侵害物など）: 7年以下の懲役または700万円以下の罰金、またはその両方

また、法人についても罰金刑が科せられます。犯罪貨物は原則没収され、没収できない場合は追徴されます。

不服申立て

税関長の処分に不服がある場合は、再調査請求や審査請求を行うことができます。審査請求は、関税等不服審査会に諮問されます。また、輸入禁止通知の取消し訴訟は、審査請求の裁決を経なければ提起できません。

まとめ

日本への輸入禁止貨物は多岐に渡り、厳格な取り締まりが行われています。輸入を検討する際は、事前に関係法令を十分に確認し、該当する可能性のある物品は輸入しないように注意が必要です。不明な点がある場合は、税関に相談することをお勧めします。

もう一度検索