辛島輝治

辛島輝治

辛島輝治（からしま てるじ）は、大分県出身のピアニストであり、東京芸術大学名誉教授として知られています。彼の演奏は、特にシューベルトの作品において、その深い解釈と卓越した技術で高い評価を得ています。

略歴

1937年に生まれた辛島輝治は、大分舞鶴高等学校を経て東京芸術大学に進学しました。1959年に同大学を卒業後、田村宏に師事し、研鑽を積みます。1961年には東京でデビューリサイタルを開催し、その才能を広く知らしめました。1964年、旧西ドイツ政府の給費留学生として渡独し、国立ベルリン音楽演劇大学（現在のベルリン芸術大学）に留学、ゲルハルト・プッヘルトに師事しました。

1968年に帰国後、東京で6回にわたるシューベルトのピアノ曲連続演奏会を開催し、シューベルトのスペシャリストとしての地位を確立します。その後は、東京芸術大学で後進の指導にあたり、多くの才能を育成しました。1980年には、イタリアのポジターノで開催されたウイルヘルム・ケンプ主催のベートーヴェンチクルスに参加するなど、国際的な舞台でも活躍しました。その他、1978年のシューベルト没後150年記念リサイタル、1986年のシューベルトチクルス、1997年のシューベルト生誕200年記念「リサイタルと室内楽の夕べ」など、数々の記念コンサートを開催しています。1998年には日本ショパン協会主催のリサイタル、2002年には日本調律師協会主催のリサイタルに出演しました。2004年に東京芸術大学教授を退官し、同年2月には退官記念演奏会が開催されました。現在は、東京芸術大学名誉教授および大分県立芸術短期大学講師を務めています。

リサイタル活動と並行して、ヴァイオリニストの豊田耕児、宗倫匡、黒沼ユリ子、チェリストの青木十郎、堤剛らと全国各地で共演し、室内楽奏者としても活発な活動を展開しました。また、日本音楽コンクール、神奈川新聞音楽コンクール、国際アマチュアコンクールなどの審査員も務め、音楽界の発展に貢献しています。

2005年5月と2006年5月には、東京文化会館にてシューベルトアーベントを開催し、シューベルト作品への深い愛情を示しました。2009年10月には、東京文化会館にてリサイタルを開催し、健在ぶりをアピールしました。2011年11月には、デビュー50周年記念演奏会を開催し、長年の音楽活動を祝福しました。2012年と2013年の秋には、東京芸術大学同声会神奈川支部会主催のレクチャーコンサートに出演し、後進の指導にも力を注ぎました。

ジャズピアニストの辛島文雄は実弟であり、兄弟揃って音楽分野で活躍していましたが、文雄は2017年2月24日に逝去されました。

録音

『シューベルトのピアノソナタ』2006年
『シューベルトのピアノソナタⅡ』2006年
* 『シューベルトの即興曲ほか』2009年

もう一度検索