農会

農会（のうかい）とは

農会とは、1899年（明治32年）に制定された農会法によって公認された農業団体です。町村、郡、府県と系統的に組織されたことから、系統農会とも呼ばれています。本記事では、農会の成立から解散まで、その歴史と活動について詳しく解説します。

農会成立の背景

1883年（明治16年）の農学校通則の公布をきっかけに、各地に農業学校が設立されました。しかし、農業学校で学んだ欧米式の農法と、実際の農業現場との間に乖離があることが明らかになります。そのため、経験豊富な在村の農業指導者、いわゆる「老農」と呼ばれる人々が評価されるようになり、明治10年頃から明治23年頃にかけて、老農による農業改良が各地で進められました。この過程で、農談会や農事会といった講習会や研修会が組織されるようになりました。

農会の組織化

1891年（明治24年）には、郡村の農会を組織化するための農会法案が政府案として帝国議会に提出されました。しかし、衆議院の解散により成立には至りませんでした。その後、1894年（明治27年）には大日本農会主催で第1回全国農事大会が開催されましたが、指導方針をめぐり、全国農事会系と農業教育機関系に分裂してしまいます。

政府案での法案提出が難航する中、1899年（明治32年）1月には、全国農事会系の議員立法として農会法案が議会に提出されました。この法案は、農会の強制加入と会費の強制徴収を定めていたため、団体的自立性を重視する政府は難色を示しました。しかし、全国農事会系の議員と政府との交渉の結果、組織立法を勅令に委ね、補助金の農会への交付に関する規定を設けることで議会を通過しました。同年6月9日には農会法が公布され、1900年4月1日に施行されました。

1900年（明治33年）2月12日には農会令が公布され、農会の区域、組織、権限が規定されました。また、農商務省や地方長官には、農会に対する検査、命令、処分の権限が与えられました。さらに、1902年（明治35年）には、農会は毎年農事統計に関する報告書を地方長官に提出することが義務付けられました。

1910年（明治43年）には、系統農会の中央機関として帝国農会が法制化されました。これにより、全国農事会は解散しました。

農会の発展と解散

1922年（大正11年）には新農会法が公布され、会費の強制徴収が可能となり、補助金も増額されました。また、小作調停仲裁事業が公認されるなど、農会の活動はさらに拡大しました。しかし、1943年（昭和18年）には農業団体法が公布され、農会は他の農業団体とともに農業会に統合され、その歴史に幕を閉じました。

農会は、日本の農業の発展に大きく貢献した重要な組織でした。農会の活動は、農業技術の向上や農村の振興に大きな影響を与え、その後の農業政策にも大きな影響を与えました。

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