農業に関する協定

農業に関する協定

農業に関する協定（Agreement on Agriculture）は、1995年に世界貿易機関（WTO）の設立協定に含まれた農業貿易に関する重要な条約です。この協定は、ウルグアイラウンドでの農業分野に特化した交渉の結果として成立しました。日本においても、国会の承認を経た正式な「条約」として取り扱われています。

背景

農業協定は、WTO協定の附属書1Aに属する一括受託協定です。この協定は、東京ラウンドまでの間に農業分野で確立された包括的な合意がなかったことに対処するために策定されました。農業協定は、これらの合意内容を詳述し、さまざまな例外規定を含むことで他の協定に優先することを明確にしています。

主な内容

この協定の中心的な内容には、以下の要素が含まれます。

1. 関税化

すべての国境措置は関税に移行され、輸入割当などの非関税措置は廃止されます。この関税の水準は、1986年から1988年の間の国内価格と国際価格の差に基づいて透明性のある方法で決定されます。また、基準期間における輸入実績に基づき設定された市場アクセス機会数量については、現行の関税率を維持し、輸入がほとんど行われていない品目については、最小アクセス数量に基づいて市場アクセス機会を保障することが求められています。

2. 関税引下げ

協定は、2000年までに農産物の平均関税を36％削減することを目指しています。途上国については、10年間の猶予が与えられ、後発開発途上国（LDC）には削減義務はありません。

3. 国内支持

国内支持については、貿易を歪める効果が大きいものを3つのカテゴリーに分類しました。市場価格支持などの「イエロー」は削減対象であり、2001年までに20％の削減が求められます。「グリーン」は貿易に対する影響がわずかであると見なされ削減義務はなく、「ブルー」は削減義務はないものの相殺関税の対象となる可能性があります。

4. 輸出補助金

輸出補助金の削減も要請されています。これにより農業分野における国が取る補助金のあり方が見直されます。

5. 継続的な交渉

協定の実施期間が終了する1年前には、改革の過程を進めるための交渉が開始されます。現在も交渉は続いており、2013年にはバリでのWTO閣僚会議で食料安全保障や関税割当の透明性向上について合意がなされました。

結論

農業に関する協定は、農業分野の貿易ルールを規定する国際的な枠組みであり、農業貿易のスムーズな運営を目指しています。これにより、国際的な農業市場の透明性と予見可能性が高まり、世界中の農業従事者にとって重要な基盤が提供されています。

もう一度検索