辻二郎

辻 二郎の略歴と業績

辻二郎（つじじろう）は、1927年5月11日に滋賀県蒲生郡近江八幡町（現近江八幡市）に生まれた日本の化学者です。彼は、米国コロンビア大学でPh.D.を取得し、東京工業大学の栄誉教授として名を馳せました。辻氏は、パラジウム触媒を使用した有機合成反応において世界初の成果を上げ、特に「辻・トロスト反応」として知られる反応を発見したことが評価されています。

学歴とキャリア

辻は八幡商業学校を経て彦根工業専門学校（現滋賀大学）に入学し、1951年に京都大学理学部を卒業しました。その後、彼は日本新薬に研究員として勤務し、1956年から1960年にかけて休職期間を挟みます。辻は1957年にアメリカのベイラー大学で化学の修士課程を修了し、1960年にはコロンビア大学で博士号を取得しました。

卒業後は東レ基礎研究所の主任研究員として主に研究活動を行い、後に東京工業大学の工学部化学工学科の教授を務めました。また、岡山理科大学や倉敷芸術科学大学で教授職を歴任し、最終的には2011年に東京工業大学の栄誉教授に就任しました。2022年4月1日、東京都港区の病院で94歳で亡くなりました。

研究業績

辻の研究は、特にパラジウム触媒を活用した新しい有機合成反応において顕著です。彼は、炭素-炭素結合を生成するためにパラジウム化合物を使用する手法を世界で初めて発見しました。これにより有機化学分野に革新がもたらされ、化学者たちに新たな可能性を提供しました。

彼の代表的な業績として知られる「辻・トロスト反応」は、特に重要であり、様々な有機合成において広く利用されています。この反応は、特定の条件下でパラジウムを触媒として使用し、非常に効率的に炭素-炭素結合を形成する手法で、多くの化学者にインスピレーションを与えました。

受賞歴

辻二郎は、その業績に対して多くの賞を受け取っています。1980年には「遷移金属化合物を用いる新しい有機合成プロセスの研究」により日本化学会賞を受賞しました。1994年には紫綬褒章を受勲し、さらには2004年には日本学士院賞を「パラジウム触媒を活用する新有機合成反応の研究」に対して受賞しています。2014年にはテトラヘドロン賞を受賞し、「辻・トロスト反応」の重要性が再認識されました。

まとめ

日本の化学界において、辻二郎はその独創的な研究と業績によって特に著名です。彼の発見は、多くの化学者や研究機関に影響を与え、その成果は今もなお多くの応用がなされています。彼の存在は日本の化学界において重要な位置を占めており、今後も彼の研究が引き続き引き継がれていくことでしょう。彼の業績は、化学の未来に明るい道を示しています。

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