辻兵

辻兵(つじひょう)の歴史と展開

辻兵は、秋田市にルーツを持つ呉服商として知られ、その歴史は長黄色にわたります。最初の店舗は、初代の兵吉が創業した呉服商から始まります。創業者は加賀一向一揆の折に秋田に移り住んだ萬四郎で、その後息子の兵吉が大町で新たにビジネスを展開しました。1908年には合資会社として「辻呉服店」を設立し、1955年には株式会社に移行して「株式会社辻兵」として現在に至ります。代々受け継がれる代名詞とも言える「兵吉」という名前は、その商業活動の中で重要な役割を果たしてきました。

2代目兵吉の成功

特筆すべきは、2代目の兵吉が育てた事業成長です。彼は湯沢の名家から婿入りすることで家業を継ぎ、生糸や米の相場で巨額の富を築きました。これにより、彼はさまざまな事業に投資し、1896年には池田甚之助らと共に旧・秋田銀行を設立します。これは後の秋田銀行の前身となりました。さらに、彼は湯沢 - 横堀間の鉄道敷設を再開させるために工事資金1500万円を拠出し、地域のインフラにも貢献しました。

農業と投資のアプローチ

1922年に日本農民組合が設立される影響で、地域の農業界では小作争議が頻発しています。そのため、3代目は資産を田畑から山林へとシフトし、第二次世界大戦後の農地解放による財産の散逸を避けました。

戦後の発展

1951年、3代目の死去後、4代目の兵太郎が亡くなると、丸紅のサラリーマンであった良一が招聘され、5代目の兵吉を襲名しました。帰郷早々、巨額の相続税が課せられ、5代目は税の負担と商売の継続の狭間で苦心したようです。この時期、デパートや量販店へ進出する動きが見られましたが、5代目は相続税の影響で大胆な投資をためらったと振り返っています。

1959年、大町に鉄筋コンクリート造の新店舗を設立し、さらに秋田プラザや秋田名店街への進出を果たします。高度成長期には、秋田いすゞ自動車がモータリゼーションの波に乗り発展し、1980年代には富士ゼロックスとの特約店契約が結ばれ、複写機事業部が設立されました。

グループ企業の形成

5代目は、地域の商工業者との連携を図り、1981年にダイエー秋田店とともに「秋田ニューシティ」をオープンしました。これを機に、地元の商業地が活気づきました。また、婚礼事業で展開するへいあん秋田（旧新生活互助会）も地域に根付いた企業として存在感を示しています。

5代目は、1996年から2004年まで秋田商工会議所の会頭を務め、地域経済にも大きく寄与しました。彼は秋田銀行や秋田放送の社外取締役としても活動し、秋田の経済界における重要なリーダーの一人となりました。

現在と未来

2008年、5代目が亡くなると、長男の良之がグループのリーダーとしての役割を引き継ぎました。そして、秋田大町ニューシティの解散など新たな路線を模索しています。彼のもとには一男一女がいて、次世代への期待も寄せられています。

グループ企業一覧

• - 秋田いすゞ自動車
• - 富士フイルムBI秋田株式会社
• - コマツ秋田株式会社
• - など多数の関連企業が「二十日会グループ」として連携しています。

辻兵は、このように多岐にわたる事業を通じて地域に貢献し続けてきました。

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