辻博司

辻 博司

辻 博司（つじ ひろし）氏は、1949年12月28日に和歌山県で生を受けました。プロ野球の舞台で投手として活躍した経歴を持ち、引退後は高校野球の指導者として、ふるさとで若者の育成に情熱を注いでいます。

少年時代から高校球界へ

幼少期、辻氏は腎臓を患い、小学校時代に約1年半の休学を余儀なくされるという困難を経験しました。しかし、病を乗り越え、野球への道を歩み始めます。

故郷の和歌山県立熊野高等学校に進学後、彼は本格派投手としてその才能を開花させます。特に2年生として迎えた1967年夏の全国高等学校野球選手権大会の県予選では、1回戦で紀北工業高校を相手に見事なノーヒットノーランを達成し、その名を広く知らしめました。長身から投げ下ろされる切れ味鋭い速球と、決め球として効果的に使われたフォークボールを武器に、快進撃を続けます。

しかし、県予選の準決勝では、後にプロでも活躍する市和歌山商業高校の好投手、野上俊夫氏との投げ合いとなり、惜しくも完封負けを喫し、甲子園へと繋がる紀和大会への出場は叶いませんでした。

プロ入りと現役時代

高校での活躍が評価され、辻氏は1968年のプロ野球ドラフト会議において、大洋ホエールズ（現在の横浜DeNAベイスターズ）から2位という高い順位で指名を受け、プロの世界へと飛び込みます。大きな期待を背負っての入団でした。

プロ入り後の背番号は、入団から1971年までは「22」を背負いました。しかし、プロの厳しい世界で彼は苦難を味わいます。1年目の1969年5月、21日と22日に偵察要員としてわずか2試合に出場する機会はありましたが、本来のポジションである投手としての公式戦登板は、現役生活を通じて一度も叶いませんでした。プロの世界で結果を残すことの難しさを痛感する日々でした。

背番号は1972年から引退する1973年まで「58」に変更されましたが、状況は変わらず、彼は1973年シーズン限りで現役を引退することを決断しました。

引退後の歩み

プロ野球選手としてのキャリアに幕を下ろした後、辻氏は新たな道を歩み始めます。故郷である和歌山県に戻り、県立神島高等学校で理科実験助手として教育現場に携わることとなりました。長年にわたり学校という場で生徒たちと向き合う中で、再び野球への情熱が再燃します。

そして、かつての経験を活かし、高校野球の指導者としてグラウンドに戻ることを目指します。必要な資格を取得し、2009年5月28日付で日本学生野球協会から正式に高校野球指導者としての認定を受けました。現在は、自らの経験、特に病気からの回復やプロでの苦労といった貴重な経験を、未来を担う球児たちに伝え、彼らの成長をサポートすることに尽力しています。

辻博司氏は、華やかなプロでの登板こそ叶いませんでしたが、高校時代に見せた輝き、そして引退後に教育者・指導者として野球に関わり続けるその姿勢は、多くの人々に影響を与えています。彼のキャリアは、野球人生の多様な側面を示しています。

背番号

22 （1969年 - 1971年）
58 （1972年 - 1973年）

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