辻吉之助

辻吉之助は、1898年2月11日に京都で生まれ、1985年8月18日に生涯を閉じたヴァイオリニストです。

初期には福井富之助に師事し、「吉田吉之助」という名前で活動していました。その後、大正時代の終わりに日本を訪れたボリス・ラスに師事し、さらに研鑽を積みました。

昭和時代に入ると、辻吉之助は宝塚管弦楽団のコンサートマスターという重要な役職を務めました。演奏家としての活動の傍ら、ヴァイオリン教室を開き、後進の育成にも力を注ぎました。娘の辻久子、久保田良作、和波孝禧といった、後に音楽界で活躍する多くの才能あるヴァイオリニストを育てましたが、その指導は非常に厳格であったことで知られています。

1957年には、長年の音楽への貢献が認められ、紺綬褒章を受章しました。これは、彼の音楽家としての業績が社会的に高く評価された証と言えるでしょう。

また、辻吉之助の生涯は、1984年に公開された映画「弦鳴りやまず」で中村嘉葎雄によって演じられました。この映画は、彼の音楽に対する情熱と、教育者としての厳しさを描いており、多くの人々に感動を与えました。

辻吉之助は、演奏家としてだけでなく、教育者としても、日本の音楽界に大きな足跡を残した人物です。彼の音楽に対する真摯な姿勢と、後進育成への情熱は、今日でも多くの音楽家にとって模範となっています。

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