和波孝禧

和波孝禧（わなみ たかよし）

和波孝禧（1945年4月1日 - ）は、東京に生まれたヴァイオリニストです。彼は生来の全盲というハンディキャップを抱えながらも、音楽の才能を開花させ、国内外で目覚ましい活躍を遂げてきました。祖父は海軍中将の和波豊一で、山本五十六と同期という家系に生まれています。

経歴

4歳からヴァイオリンを始め、辻吉之助、鷲見三郎、江藤俊哉といった名だたる指導者に師事しました。その才能は早くから開花し、9歳の時に第6回全日本盲学生音楽コンクールで第1位特賞を受賞。1958年には、中学校2年生で第12回全日本学生音楽コンクール全国大会中学生の部で第1位を獲得しました。

1959年には、14歳にして大映映画「いつか来た道」に山本富士子の弟役で出演。1962年には、第31回日本音楽コンクールで第1位、特賞を受賞し、その実力を広く知らしめました。翌1963年には、斎藤秀雄指揮の日本フィルハーモニー交響楽団のソリストとしてデビューを果たし、プロのヴァイオリニストとしてのキャリアをスタートさせました。

その後も、1965年のロン・ティボー国際コンクールで第4位、1970年のカール・フレッシュ国際ヴァイオリン・コンクールで第2位を受賞するなど、国際的な舞台でも高い評価を得ています。

1976年6月からは『点字毎日』で「和波孝禧が選ぶクラシック新譜」を月1回連載。2016年の新聞記事では、パソコンを使いこなす様子が紹介され、「手伝ってもらわなくても買い物とかができる。（中略）自分の力で何かができる喜びが、見えない人にはあるんです」と語っています。

演奏活動

国内外のオーケストラとの共演、室内楽、リサイタル、CD録音など、幅広い演奏活動を展開しています。1990年からはサイトウ・キネン・オーケストラに参加。1993年にはモービル音楽賞、1994年にはサントリー音楽賞を受賞しました。また、後進の育成にも力を注ぎ、東京芸術大学非常勤講師、桐朋学園大学非常勤講師も務めています。

受賞歴

1954年 - 全日本盲学生音楽コンクール第1位特賞
1958年 - 全日本学生音楽コンクール全国大会中学生の部第1位
1962年 - 日本音楽コンクール第1位特賞
1965年 - ロン・ティボー国際コンクール第4位
1970年 - カール・フレッシュ国際ヴァイオリン・コンクール第2位
2005年 - 紫綬褒章
2006年 - 本間一夫文化賞
2015年 - 旭日小綬章

和波孝禧は、音楽を通して多くの人々に感動と勇気を与え続けています。彼の演奏は、技術的な卓越性だけでなく、深い精神性と豊かな人間性に裏打ちされており、聴く人の心を揺さぶります。ハンディキャップを乗り越え、音楽の道をひたむきに歩む彼の姿は、私たちに希望を与えてくれます。

関連文献

和波その子『母と子のシンフォニー―盲目のヴァイオリニスト、和波孝禧を育てた母の手記』音楽之友社、1977年

外部リンク

オフィシャルウェブサイト
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