辻堂海浜公園

神奈川県藤沢市辻堂西海岸に広がる辻堂海浜公園は、神奈川県が管理運営する都市公園（総合公園）として位置づけられています。美しい相模湾を望む湘南エリアにあり、「かながわの公園50選」にも選ばれるなど、県内有数の広大な公園として親しまれています。

この公園の敷地は、もともと在日米海軍の辻堂演習場として利用されていた歴史を持ちます。第二次世界大戦後、広大な軍用地の跡地が平和利用されることとなり、その一部に県立の公園が整備されることになりました。1971年（昭和46年）3月7日に盛大な開園記念式典が執り行われ、同年4月1日をもって正式に公園として設置されました。開園後も施設の拡充が進められ、1999年（平成11年）には公園全体の全面的な改修工事が行われ、現在の利用しやすい姿へと生まれ変わりました。

園内には、多様なレクリエーションや学びの機会を提供する施設が点在しており、季節や年齢を問わず多くの人々が訪れます。主な施設は以下の通りです。

ジャンボプール
夏季限定でオープンする有料の大型プール施設です。波のプール、流れるプール、チビッコプールなど、バラエティ豊かなプールが整備されており、ウォータースライダーも備えています。真夏の強い日差しのもと、多くの家族連れや若者たちで賑わう、公園最大のレジャースポットの一つです。

ジョギング・コース
公園の敷地内には、気軽に運動を楽しめる無料のジョギングコースが設けられています。整備された道は走りやすく、周囲の緑や開放的な空間を感じながら、ウォーキングやランニングができます。毎週土曜日の朝8時には、園内シンボルの一つである「サザンセイル」モニュメント前をスタート地点として、5キロメートルのタイム計測が行われる市民参加型イベント「パークラン」が開催され、地域内外から多くのランナーが集まります。

交通展示館
有料で入館できる屋内施設です。日本の交通の歴史や仕組みについて、模型展示や体験型の展示を通じて学ぶことができます。館内には、かつて小田急線で活躍した2400形電車の台車が実際に保存展示されており、鉄道技術の一端に触れることができます。また、運転シミュレーターも設置されており、こちらは国鉄時代に製造された211系電車の実物機器類を使用した本格的な体験が可能です。

交通公園
子供たちが楽しみながら交通ルールを学べるエリアです。信号機や横断歩道が設けられたコースがあり、無料で借りられる自転車やペダル式のゴーカートに乗って園内を周回できます。この交通公園には、人気漫画「鉄腕アトム」のキャラクターを象ったユニークなデザインの歩行者用信号機が設置されており、公園の隠れた名物となっています。また、このエリアの一角には、かつて小田急線の通勤輸送を支えた2600形電車の先頭車両（クハ2658）が静態保存されており、懐かしい車両の姿を見学できます。以前は他の小田急車両（デハ2218）や、さらに遡ると横浜市電の車両（1201号）も保存されていた歴史があります。

スカイサイクル
交通公園内に設置された有料のアトラクションです。地上から少し高くなったレール上を、二人乗りのサイクルで巡ります。自分の力でペダルを漕いで進むため、適度な運動になりつつ、園内やその向こうに広がる海や市街地の景色を眺めることができます。このスカイサイクルは、1990年に鵠沼海岸で開催された国際的なイベント「相模湾アーバンリゾート・フェスティバル」の会場に一時的に設置されたものを、イベント終了後に辻堂海浜公園へ移設した経緯を持ちます。

駐車場
公園には、自家用車で来園される方向けに、782台分の有料駐車場が整備されています。

辻堂海浜公園へのアクセスは、電車とバスを利用するのが一般的です。JR東海道線（上野東京ライン、湘南新宿ライン含む）の辻堂駅で下車し、南口のバス乗り場へ向かいます。南口からは複数の路線バスが運行しており、「高砂・辻堂西海岸経由辻堂団地行」（辻03系統）に乗車して「辻堂海浜公園入口」バス停で下車する方法と、「湘洋中学校経由鵠沼車庫行」に乗車して「辻堂海浜公園前」バス停で下車する方法があります。どちらのバス停も公園のすぐ近くに位置しており、アクセスは容易です。

かつての演習場という歴史的背景を持ちつつも、現在は県民の憩いの場、学びの場として整備された辻堂海浜公園。広大な敷地には、緑豊かな芝生広場、季節の花々が咲く花壇、そしてここで紹介したような多様なレクリエーション施設が備わっており、子供から大人まで、一日中楽しむことができる魅力あふれる公園です。

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