辻本店

辻本店：岡山県真庭市勝山の老舗酒造メーカー

株式会社辻本店は、岡山県真庭市勝山の勝山町並み保存地区に位置する、歴史ある酒造メーカーです。旧出雲街道沿いに蔵を構え、その趣のある建物は、勝山の景観を形作る重要な要素となっています。

歴史

辻本店のルーツは、1711年～1735年（正徳・享保年間）に本家・辻安右衛門が始めた呉服商「真嶋屋」に遡ります。その後、次男が安右衛門を襲名し、1785年（天明4年）に分家して「炭屋」という呉服屋を開業。さらに、安右衛門の子である弥兵衛が分家し、1804年（文化元年）に酒造業をスタートさせました。二代目弥兵衛は1833年（天保4年）に家督を相続し、酒造業の他に醤油醸造や種油製造も手掛け、事業を拡大しました。

1861年（万延2年）には、藩公に清酒を献上。この献上の際に用いられた酒が、後に同社の代表銘柄となる「御前酒」の由来となりました。1935年（昭和10年）には株式会社辻本店として組織を改め、近代的な経営へと移行しました。2014年（平成26年）には、本社周辺の9棟の建物が国の登録有形文化財に登録され、その歴史的価値が認められています。

銘柄

辻本店の代表的な銘柄は、以下の通りです。

日本酒

御前酒：藩公への献上が由来の、歴史と伝統が息づく銘柄です。
GONENSHU 9 NINE：若い女性杜氏を中心とした9人の若者が、「日本酒のイメージを変えたい」という想いから開発した革新的な日本酒です。岡山県産の酒造好適米「雄町」を使用し、日本でも数少ない「菩提もと仕込み」で醸造されています。従来の日本酒とは一線を画す、スタイリッシュなボトルデザインも特徴です。
ホワイト - しぼりたて生原酒
ブラック - しぼりたて原酒火入れ
ブルー - 夏生
グリーン - ひやおろし
レギュラー - 通年

リキュール

GOZENSHU9(NINE)ゆずの酒
梅酒 夢真蔵 YUMEMAKURA

焼酎

本格麦焼酎 おいさぁ

CM出演者

1970年代には、俳優の長門勇が出演するローカルCMが話題となり、「『御前酒』飲まにゃあ、ええ酒じゃ」というキャッチフレーズは、岡山県民に広く親しまれました。

登場作品

1995年公開の映画『男はつらいよ 寅次郎紅の花』では、周辺の通りがロケ地となり、辻本店も撮影に使用されました。主人公の寅さんが試飲をして酔っぱらうシーンは、多くの観客に印象を与えました。

登録有形文化財

2014年4月25日、以下の9棟が登録有形文化財に登録されました。

辻本店店舗兼主屋
事務所
衣装蔵
奥座敷
西蔵
倉庫
社舎
表門及び塀
庭塀
旧岡野屋旅館 客室棟、門及び塀2棟（建物は辻本店が所有）

アクセス

西日本旅客鉄道（JR西日本）姫新線 中国勝山駅より徒歩約11分です。

辻本店は、伝統を守りながらも、新しい挑戦を続ける酒造メーカーです。勝山にお越しの際は、ぜひ足を運んでみてください。

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