辻本智子

辻本智子：日本の花文化を未来へ繋ぐ環境プランナー・デザイナー

辻本智子は、日本の環境プランナー、デザイナー、そしてランドスケープアーキテクトとして、国内外で多岐にわたるプロジェクトを手がけてきました。彼女の活動は、単に美しい景観を創出するだけでなく、花や緑を通じて人々の暮らしを豊かにし、自然との共生を促すことを目指しています。

国家プロジェクトでの活躍

辻本は、1990年の大阪国際花と緑の博覧会を皮切りに、2000年の淡路花博、2004年の浜名湖花博と、数々の国家プロジェクトに深く関与してきました。これらの博覧会では、外部シンクタンクの一員として企画に携わったり、兵庫県テーマ館「奇跡の星の植物館」の企画・設計・プロデュースを担当したり、主催者展示や循環の庭の企画・設計を行うなど、その才能を発揮。さらに、ジャパンフラワーフェスティバル香川では総合プロデュースを担うなど、プランニングから植栽デザイン、イベント企画まで、トータルプロデュースを行う能力を示しました。

国際的な視点と技術の導入

2012年からは、日英米の園芸造園制度の検討を、ロングウッツドガーデンやフィデリティ社（USA）と共同で進めています。2014年春からは、フィデリティ社の支援のもと、ロングウッドガーデンやヒドコート・マナー・ガーデン（UK）から技術者を招き、研修指導を行うなど、国際的な視点を取り入れ、技術の向上にも努めています。

未来を見据えた活動

辻本の活動は、花緑施設の企画やデザインプロデュースにとどまりません。彼女は、日本の花文化を現代の暮らしに継承する空間デザインや、グリーンアートをテーマにしたダイナミックな垂直庭園の提案など、常に未来を見据えた活動を展開しています。先人の共生の暮らしに学び、地域性と伝統性を花緑空間作りで継承し、地域、日本が輝く「ガーデンルネサンス」を提唱しています。

役職と教育活動

現在、株式会社辻本智子環境デザイン研究所の代表取締役所長を務める傍ら、ランドスケープアーキテクトとしても活躍しています。過去には、兵庫県立淡路夢舞台温室「奇跡の星の植物館」のプロデューサーや、兵庫県立大学大学院、大阪府立大学大学院、京都教育大学などの非常勤講師を務め、後進の育成にも力を注いできました。現在は、兵庫県園芸公園協会の評議員や兵庫ロースクラブの理事としても活動を続けています。

略歴と主要作品

1976年に大阪府立大学農学部園芸農学科花卉学研究室を卒業後、カナダ・ナイアガラ公園協会での留学、大阪府立大学大学院での修士課程修了、カルフォルニア大学バークレー校での留学を経て、株式会社AAPに入社。都市プランニングを中心としたプロジェクトに携わりました。その後、松下電器産業労働組合ユニトピアささやま「花の植物館」の館長を務め、展示企画や植物デザインを手がけました。

主要な作品としては、松下電器産業労働組合ユニトピアささやま花の植物館の造園植栽設計、岐阜県“花の地球館”の展示実施計画、愛知県春日井市都市緑化植物園“花と緑の休憩所”の植栽デザイン、大阪梅田ガーデンシティ緑のパティオの植栽デザイン、淡路夢舞台温室奇跡の星の植物館のプロデュースなどがあります。その他、大東市“水郷の町のおかげ公園”の造園植栽実施設計、浜名湖花博での国際交流会館の主催者展示デザインや「循環の庭」の植栽デザイン、神戸空港ターミナルビル内外の植栽デザイン、ジャパンフラワーフェステイバル香川「さぬき花ルネサンス」の総合プロデュースなどを手がけました。

受賞歴と著書

辻本は、その卓越した業績により、日本造園修景協会下山奨励賞、日本造園学会賞技術部門、日本公園緑地協会佐藤国際交流賞など、数々の賞を受賞しています。

著書には、「奇跡の星の植物館からのメッセージ」、「ガーデンルネサンス」、「花とくらし」などがあり、ガーデニングやカラーコーディネートに関する知識や、植物館での経験を活かしたメッセージを発信しています。また、「これからの自然史博物館」では、「花の植物館の挑戦」を担当するなど、多岐にわたる執筆活動も行っています。

辻本智子の活動は、花と緑を通じて、人々の生活と自然環境の調和を目指す、まさに「ガーデンルネサンス」を体現するものです。彼女の活動は、今後も多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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