近藤喜兵衛

近藤喜兵衛の生涯と業績

近藤喜兵衛（こんどう きへえ、1863年3月13日 - 1932年）は、日本の実業家であり、鳥取県の資産家として名を知られていました。彼は近藤家の第6代目として、家業を継ぎ、特に鉱山業において著名でした。この文においては、彼の生涯や業績、そして人となりについて詳しく見ていきましょう。

出身と家族背景

彼は伯耆国日野郡根雨宿、現在の鳥取県日野郡根雨町に生まれました。父は近藤喜八郎で、日野郡の庄屋であり、製鉄業を営んでいました。家族は裕福であり、近藤家は地域の多額納税者としても知られていました。母は広島出身のさわで、彼は家族の長男として家督を1883年に相続しました。

製鉄業の発展と挑戦

近藤喜兵衛は、製鉄業と商業を中心に事業を展開しました。彼は伯耆鉄の品質向上に尽力し、第一次世界大戦勃発以降は特殊銑鉄の供給を請け負いました。この時期、彼の事業は活況を呈し、年間の砂鉄採取量は12,000トンに達し、製鉄産出量は3,000トンに上りました。事業は順調に進行し、賃金支払いには2,000名の労働者が関与していました。しかし、1919年頃から外国鉄の輸入が影響し、製鉄業は一時的に休止を余儀なくされました。

失業者救済と新たな事業

製鉄業の休止により、数千人もの労働者が職を失いました。これに対処するため、近藤は製炭事業を開始し、失業者をこの事業へ転職させる大きな決断をしました。これにより、彼は地域経済への影響を最小限に抑え、職工たちの生活を支えました。製鉄業と木炭業の管理に加えて、植林事業にも取り組みました。このように、彼は地域社会の繁栄に寄与することを常に考えていました。

経営の展開

大阪支店を拠点として洋鋼の輸入販売を始め、次第に事業を発展させます。1883年には根雨郵便局長に任命され、地域の経済発展に寄与しています。また、根雨銀行の頭取や鳥取県農工銀行の監査役としても活躍しました。こうした役職を通じて、彼は地域の金融界にも貢献しました。

人物像と趣味

彼は貴族院の多額納税者議員選挙で互選資格を持つなど、政治的にも影響力のある人物でした。処世観は「敬神尊王」であり、宗教的な価値観が彼の行動にも影響を与えていたと言われています。趣味としては書画を愛し、文化的な側面にも興味を持っていました。

栄典と死去

1928年には紺綬褒章を受章し、その業績が評価されました。彼は1932年に亡くなり、その生涯を通じての貢献は今も語り継がれています。

家族と親族

近藤喜兵衛は、同じように実業の世界で成功を収めた家族に囲まれていました。妻のかやは、島根出身であり、彼らの長男、寿一郎も林業と製薬業で名を馳せています。また、彼の親族には、広島県の多額納税者である橋本吉次郎や、乾製紙社長の乾新三など、同様に影響力を持つ人物が多く存在しました。


以上のように、近藤喜兵衛は日本の近代経済の形成に寄与した実業家であり、彼のビジョンと行動は地域社会に多大な影響を与えたことが分かります。

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