近藤尚己

近藤尚己

近藤尚己（こんどう なおき、1974年10月3日 - ）は、日本の公衆衛生学者であり医師です。専門は社会疫学であり、京都大学大学院医学研究科教授として研究・教育活動に従事しています。社会疫学の分野で、健康格差、ソーシャル・キャピタルと健康、地域共生社会における健康問題など、多岐にわたるテーマに取り組んでいます。

人物・経歴

東京都町田市出身。東京都立八王子東高等学校を経て、2000年に山梨医科大学（現山梨大学）医学部医学科を卒業しました。2002年、山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座の助教に就任。

2005年には博士（医学）の学位を取得。その後、2006年にハーバード大学公衆衛生大学院健康社会研究センターの研究フェローとして海外での研究活動を経験しました。

2009年、日本公衆衛生学会学術総会で最優秀演題賞を受賞。2010年には山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座講師となります。2011年には日本疫学会奨励賞を受賞し、2012年東京大学大学院医学系研究科健康教育・社会学分野准教授に就任。

2016年には東京大学医学部ベスト・ティーチャーズ・アワードを受賞し、教育者としての高い能力も示しました。2020年からは京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻国際保健学講座社会疫学分野主任教授として、研究室を主宰しています。2022年、日本疫学会副編集長に就任。

研究内容

近藤教授は、社会疫学の専門家として、以下のテーマを中心に研究を進めています。

健康格差: 社会経済的な要因が健康に与える影響を分析し、格差是正のための政策提言を行っています。
ソーシャル・キャピタルと健康: 地域社会のつながりや信頼関係が、住民の健康に与える影響を研究しています。
地域共生社会と健康: 高齢者や認知症患者が地域で安心して暮らせる社会の実現に向けた研究に取り組んでいます。

主な著作

近藤教授は、社会疫学に関する多数の著書を執筆・編集しています。主な著作は以下の通りです。

『保健医療従事者のためのマルチレベル分析活用ナビ』（共著、2013年）
『社会と健康 : 健康格差解消に向けた統合科学的アプローチ』（共同編、2015年）
『健康格差対策の進め方 : 効果をもたらす5つの視点』（2016年）
『ケアと健康 : 社会・地域・病い』（編著、2016年）
『ソーシャル・キャピタルと健康・福祉 : 実証研究の手法から政策・実践への応用まで』（編著、2020年）
『認知症plus地域共生社会 : つながり支え合うまちづくりのために私たちができること』（共編、2022年）

また、海外の社会疫学に関する重要な書籍の翻訳も手掛けています。

『ソーシャル・キャピタルと健康政策 : 地域で活用するために』（監訳、2013年）
* 『社会疫学 上・下』（監訳、2017年）

これらの著作を通じて、社会疫学の知識普及と研究の発展に貢献しています。

近藤教授の研究は、学術的な貢献に留まらず、政策立案や地域社会での実践にも応用されています。エビデンスに基づいた政策の推進や、地域住民の健康増進に貢献することが期待されています。

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