近衛十四郎

近衛十四郎について

近衛十四郎（1914年4月10日 - 1977年5月24日）は、日本の戦前から戦後にかけて活躍した、時代劇映画の俳優です。彼の殺陣はその技巧的な美しさから「日本映画史上最も殺陣の上手い役者」と称賛されるほどのもので、映画ファンから絶大な支持を受けていました。本名は目黒寅彦で、新潟県長岡市に生まれました。

来歴

幼少期から戦前まで

新潟県長岡市で父・目黒多七と母・ミカの間に生まれた近衛は、幼少期に父を失い、母に育てられました。長岡工業学校を卒業後、映画界への道を志し1932年に市川右太衛門プロダクションに研究生として入団しました。最初の芸名は長岡秀樹でしたが、1934年に近衛十四郎に改名し、映画『叫ぶ荒神山』で主演を果たしました。

彼のキャリアは順調に進み、大都映画社に引き抜かれ剣戟スターとしての名声を獲得していきました。しかし、日本の若者たちが徴兵される戦争の影響で、彼も兵役に入隊することになります。戦後の彼は映画界への復帰を果たし、新[[東宝]]や松竹で活躍しました。

映画界復帰

戦後に新[[東宝]]から活動を再開した彼は、多くの映画に主演し、名声を高めていきました。特に松竹に移籍後は、時代劇での悪役や主役に挑戦し、存在感を示しました。1957年には『まだら頭巾剣を抜けば 乱れ白菊』で主演し、さらなる注目を集めましたが、時代劇映画制作の終了により停滞を余儀なくされました。

テレビ界への進出

1965年、彼はNETテレビで放送された『素浪人 月影兵庫』に主演し、これは高視聴率を獲得。1971年には息子の松方弘樹と共演した『いただき勘兵衛 旅を行く』などテレビドラマでの活躍もあり、視聴者に認識される存在になりました。しかし、持病の影響から体力は低下し、1974年以降は頻繁にゲスト出演を行いながらも、徐々に引退状態に入っていきました。

晩年と死

近衛は晩年、余生を釣りや経営に費やしながら、1977年に健康状態が悪化し死亡しました。彼の死は日本映画界における大きな損失とされ、葬儀では彼の好きだった品々が一緒に納められ、感動を呼ぶものでした。63歳での早すぎる死は、多くのファンに惜しまれました。

家族と影響

近衛の息子たちは共に俳優として成功を収めました。特に長男の松方弘樹は、歌舞伎俳優の仁科亜季子との間に孫たちをもうけ、芸能界を継承しています。その影響は現在も続いており、家族が世代を超えて活躍しています。近衛十四郎の作品と存在は、日本映画の歴史に深く刻まれており、時代劇のアイコンとして不滅のものとなっています。

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