近鉄生駒鋼索線

生駒鋼索線（生駒ケーブル）

生駒鋼索線は、奈良県生駒市の鳥居前駅から生駒山上駅までを結ぶ近畿日本鉄道（近鉄）のケーブルカーです。通称「生駒ケーブル」として親しまれ、生駒聖天として知られる宝山寺へのアクセス路線として、また生駒山上遊園地へのアクセス路線として、地域住民の生活路線としての役割も担っています。

路線概要

生駒鋼索線は、鳥居前駅～宝山寺駅間の宝山寺線と、宝山寺駅～生駒山上駅間の山上線の2区間から構成されています。宝山寺線は日本で最初の営業用ケーブルカーとして知られ、2本のケーブルカーが並走する複線（運用上は単線並列）となっています。一方、山上線は単線で、途中駅を2つ有します。

宝山寺線は、住宅地の中を通り、踏切が3カ所も存在するなど、ケーブルカーとしては珍しい特徴を持っています。そのうち1カ所は自動車の通行も可能です。山上線にも歩行者専用の踏切が2カ所あります。

運行形態

宝山寺線の運行時間は長く、早朝6時台から夜遅くまで運行されています。年末年始には終夜運転も行われます。通常は宝山寺1号線のみが運行され、運転間隔は時間帯によって異なります。多客期には宝山寺2号線も運行されます。

山上線は日中のみの運行で、運転間隔は40分です。団体客がいる場合や、生駒山上遊園地のナイター営業時には増発されます。所要時間は宝山寺線が約5分、山上線が約7分です。

使用車両

生駒ケーブルの車両はすべて近畿車輛製で、非冷房車です。宝山寺1号線と山上線にはコ11形、コ15形、宝山寺2号線にはコ3形が使用されています。コ11形とコ15形にはラインデリア、コ3形には扇風機が設置されています。

特にコ11形とコ15形は、それぞれ犬と猫、オルガンとケーキをモチーフにしたデザインで、車内アナウンスやBGMも独自のものとなっています。コ3形は日本のケーブルカーで最古の現役車両です。

各車両は、イルミネーション装飾や、独自の車内アナウンス、BGMを備え、乗客に楽しい旅を提供しています。座席はクロスシートで、冬季には車内保温のため扉を半自動扱いにします。窓は下段が開閉可能ですが、安全のためストッパーが設置されています。

歴史

宝山寺線は、近鉄の前身である大阪電気軌道の系列会社によって、宝山寺への参拝客増加を目指して開業しました。山上線は、生駒山上遊園地の建設に合わせて開業されました。

1918年に宝山寺線が開業し、1929年に山上線が開業しましたが、第二次世界大戦中は山上線が休止されました。その後、宝山寺2号線も休止されましたが、1953年に再開されました。

2000年には、宝山寺線と山上線にそれぞれ新しい車両が導入され、運賃体系も変更されました。2021年には運賃値上げが行われています。

駅一覧

生駒鋼索線には、鳥居前駅、宝山寺駅、梅屋敷駅、霞ヶ丘駅、生駒山上駅の5駅があります。山上線の直行列車は梅屋敷駅と霞ヶ丘駅を通過します。

運賃・乗車券

運賃は区間制で、宝山寺線のみ、山上線のみ、または両区間をまたがる乗車の場合で料金が異なります。生駒駅と鳥居前駅間の徒歩連絡による、他路線との連絡乗車券は発売されていませんが、連絡定期券は発売されています。

まとめ

生駒鋼索線は、単なる交通手段としてだけでなく、地域住民の生活に密着し、歴史と伝統を伝える貴重な存在です。独自の車両デザインや車内アナウンス、そして美しい生駒山の景色と相まって、忘れられない旅の思い出を提供してくれるでしょう。

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