近鉄百貨店京都店

近鉄百貨店京都店（旧丸物）の歴史

近鉄百貨店京都店は、かつて京都駅前に存在した百貨店です。地元の人々からは「丸物（まるぶつ）」の名で親しまれていました。そのルーツは、1920年に中林仁一郎が創業した「京都物産館」に遡ります。

丸物から近鉄百貨店へ

京都物産館は、当初は京都の特産品を扱う施設でしたが、1926年には百貨店としての形態を整え、「丸物」として全国展開を開始します。1966年には近畿日本鉄道（近鉄）が出資し、近鉄グループの一員となりました。

1977年、「丸物」は「京都近鉄百貨店」と名称を変更し、近鉄グループの一員であることを明確にしました。2001年には、株式会社近鉄百貨店に吸収合併され、「近鉄百貨店京都店」となります。しかし、2007年2月28日、惜しまれつつ閉店しました。

京都駅前の歴史とともに

丸物は、京都駅前に早くから店を構え、京都の発展とともに歩んできました。京都タワーがない時代から駅前に存在し、京都の人々にとって身近な存在でした。高級ブランドの出店や富裕層向けの百貨店とは異なり、庶民的な品揃えと親しみやすい雰囲気で、多くの人々に愛されました。

閉店の経緯

しかし、時代は移り変わり、丸物を取り巻く環境も変化していきました。四条通周辺の百貨店や商業施設、そして京都駅ビルに開業したジェイアール京都伊勢丹との競争が激化しました。郊外型商業施設の台頭も、丸物の経営を圧迫しました。

増床や専門店導入など、様々な対策を講じたものの、競争に打ち勝つことはできませんでした。そして、2007年、87年の歴史に幕を閉じることになったのです。

閉店後の跡地

近鉄百貨店京都店の閉店後、跡地にはヨドバシカメラが開店しました。ヨドバシカメラは、開店にあたり「近鉄百貨店・丸物跡」という案内を出し、かつてこの場所に百貨店があったことを伝えています。

丸物の記憶

丸物は、京都の人々の記憶に深く刻まれています。閉店後も、かつての顧客は丸物のあった場所を「丸物」と呼ぶことがあります。また、京都ヨドバシには、丸物時代から設置されていた鐘が残されており、その音色は今も京都駅前に響いています。

年表

1920年：京都物産館として創業
1926年：百貨店形態へ移行
1966年：近鉄グループ入り
1977年：京都近鉄百貨店に名称変更
2001年：近鉄百貨店に吸収合併
2007年：閉店

フロア構成

閉店時のフロア構成は以下の通りでした。

1階：アクセサリー、化粧品、雑貨
2階：婦人服
3階：婦人服、呉服
4階：紳士服、スポーツ用品
5階：子供服、玩具
6階：書籍、CD、家電
* 7階：レストラン、催事場

広報活動

丸物時代には、「FRONT KYOTO まるぶつ」というキャッチコピーが用いられていました。また、「フロントまるぶつ」というCMソングも制作され、親しまれていました。

まとめ

近鉄百貨店京都店（丸物）は、京都の歴史とともに歩んできた百貨店でした。庶民的な品揃えと親しみやすい雰囲気で、多くの人々に愛されましたが、時代の変化とともに閉店を余儀なくされました。しかし、丸物の記憶は、今も京都の人々の心に残り続けています。

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