近鉄1422系電車

近鉄1422系電車：VVVFインバータ制御の先駆けとその発展

近鉄1422系電車は、近畿日本鉄道（近鉄）が保有する通勤形電車であり、1984年に登場した1420系を基に開発されました。1420系は近鉄初のGTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御を採用した試作形式で、大阪線で長期にわたる試験運用が行われました。その成果を踏まえ、標準軌路線向けの量産型として1422系が登場しました。本系列は、1430系、1620系といった派生系列へと発展し、近鉄の通勤形電車の標準を確立する上で重要な役割を果たしました。

車体と内装

1422系は、1400系や8810系で確立された車体デザインを踏襲しつつ、1220系と同様に最大車体幅2,800mmの大型車体を初めて採用しました。車体構造は、従来車の鋼製から裾を絞ったアルミニウム合金製に変更され、構体の組立工数削減に貢献しました。このアルミ車体は、特急車や急行車を除き、その後の近鉄VVVFインバータ制御車の標準仕様となりました。

内装は、1420系と同様にサンドウェーブ柄の化粧板とマルーン調の床材が採用されましたが、ロングシートは3200系や6400系と同様の肘掛けが化粧板仕上げとなった新しい仕様に変更されました。この内装デザインは、2000年に登場するシリーズ21まで近鉄一般車の標準となりました。

1422系の概要

1987年4月に営業運転を開始し、当初は1250系（2代）を名乗っていましたが、1230系列の増備に伴い、1990年に現在の番号に変更されました。6編成が製造されましたが、標準軌全線共通仕様の設定により、その後の増備車は1430系に移行しました。

1430系：標準軌全線共通仕様

1990年7月に登場した1430系は、2両編成のVVVFインバータ制御車で、1422系を標準軌全線共通仕様に変更した車両です。1998年までに2両編成15本が製造されました。1435系、1436系、1437系、1440系と細かく分類されることもあります。

1620系：4両・6両編成仕様

1994年11月に登場した1620系は、1420系列（1437系）の4両・6両編成仕様です。1994年から1995年にかけて4両編成5本、1996年に6両編成1本が製造されました。トイレは全編成で省略されています。

改造と更新

各系列とも、近鉄各路線のGTO-VVVFインバータ制御車と同様に、車体側面のVVVFマーク撤去、簡易内装更新、車体連結部の転落防止幌設置、車内床材および座席モケットの交換、車椅子スペースの整備などの改造が順次施工されています。1620系では、2023年に更新工事が施工され、前照灯と標識灯の位置が変更されるなど、外観がリニューアルされた編成も登場しています。

運用

1422系、1430系は主に大阪線系統、1430系（1440系）は名古屋線系統で運用されています。1620系は大阪線大阪上本町 - 青山町間を中心に、快速急行から普通まで幅広く使用されています。

アートライナー

一部編成は、アートライナーとして特別な塗装や装飾が施され、沿線の観光PRなどに貢献しています。

近鉄1422系電車とその派生系列は、VVVFインバータ制御技術の導入と発展に大きく貢献し、近鉄通勤形電車の標準を確立しました。現在も各線区で活躍を続けており、その動向が注目されます。

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