追いつ追われつ (1965年の映画)

トムとジェリー　短編アニメ『追いつ追われつ』解説

『追いつ追われつ』（原題：Ah, Sweet Mouse-Story of Life）は、1965年に制作されたトムとジェリーの短編アニメーション作品です。チャック・ジョーンズ監督による演出は、シリーズの中でも特に高く評価されており、独特のユーモラスな展開と、緻密な作画が魅力です。

作品内容：手に汗握る、高層マンションでの攻防劇

本作は、トムとジェリーおなじみの追いかけっこが、危険な高層マンションの屋外を舞台に繰り広げられるという、スリリングな展開が特徴です。

冒頭からトムはジェリーを猛追しますが、ジェリーの機転と俊敏な身のこなしの前に、ことごとく失敗します。追いかけるトムと逃げるジェリー、その息詰まる攻防は、見ている者を画面に釘付けにします。

ジェリーは偶然見つけたエアホーンを武器に、トムに反撃を開始。しかし、トムはついにジェリーを捕まえることに成功します。しかし、その勝利は長くは続きません。トムはジェリーを捕まえた勢いで雨樋に突っ込んでしまい、身動きが取れなくなってしまうのです。

窮地に陥ったトムに、ジェリーは再びエアホーンの爆音を浴びせます。その衝撃で雨樋から解放されたトムは、ジェリーに感謝の意を表し、握手とキスを交わします。そして、二人は再び追いかけっこを再開するのです。この、予測不能な展開と、二人の関係性の機微が絶妙に描かれている点が、本作の見どころとなっています。

スタッフとキャスト：巨匠チャック・ジョーンズと豪華声優陣

本作は、数々の名作アニメーションを手掛けた巨匠チャック・ジョーンズが監督を務め、モーリス・ノブルが共同監督として参加しています。脚本はチャック・ジョーンズとマイケル・マルティーズの共同執筆。作画はディック・トンプソン、ベン・ワーシャム、ケン・ハリス、ドン・トウスリー、トム・レイといったベテランアニメーターたちが担当しています。

背景美術はロバート・グリッブルーク、音楽はユージン・ポッダニーが担当。そして、トムとジェリーの声優には、ジューン・フォーレイとメル・ブランクという、ハリウッドを代表する声優たちが起用されています。

登場キャラクター：いつもの二人、新たな一面も

トムは、本作でもジェリーを追いかけることに執念を燃やしますが、その執念むなしく、何度も失敗を繰り返します。しかし、最後にジェリーを捕まえることに成功するものの、思わぬ事態に巻き込まれ、ジェリーの助けを必要とするという、トムの新たな一面を見ることができます。

一方、ジェリーは、機転と勇敢さでトムを翻弄し、エアホーンという意外な武器を効果的に使用します。そして、窮地に陥ったトムを救出するという、意外な優しさを見せる場面も。

日本での放映と評価：ロングセラー作品としての地位

日本においては、1980年頃、日本テレビ系の『木曜スペシャル・おかしなおかしな トムとジェリー 大行進』で放映され、その後も繰り返し再放送されています。また、DVDにも収録されており、長年に渡り愛され続けている作品の一つです。

まとめ：笑いとスリルが詰まった傑作

『追いつ追われつ』は、トムとジェリーの定番である追いかけっこを、高層マンションという斬新な舞台で展開することで、従来の作品とは一線を画す面白さを生み出しています。予測不能な展開、緻密な作画、そして豪華スタッフ陣による高い完成度。何度見ても飽きることのない、傑作短編アニメーションと言えるでしょう。

もう一度検索