追儺

追儺（ついな）について

追儺（ついな）とは、大晦日（旧暦12月30日）に行われる疫鬼や疫神を追い払う儀式のことであり、民間では節分などでも見られます。この行事は中国に由来し、新年の前日である大晦日に辟邪（へきじゃ）のために行われていました。その後、日本に伝わり、宮中の行事として定着しました。あるいは「儺（な）」や「大儺（たいな）」、または「駆儺（くな）」とも呼ばれます。

日本における追儺の歴史は古く、藩や公家、陰陽師などが行う活動が時代を経るにつれ民間にも広がりました。行事は主に儺人（なじん）や方相氏（ほうそうし）、侲子（しんし）によって執り行われます。方相氏は四つの目を持つ独特な仮面を付け、武器を持って疫鬼を追い払う役割を担います。侲子はその補助として役割を果たし、通常は子供たちがこの役を担うことが多いです。

追儺の主な目的は、疫鬼を払い除けること。資料によれば、追儺は大晦日に行われ、特に陰陽師が供物を捧げて祭文を読み上げ、鬼を追いやる様子が描かれています。儀式が進むと、方相氏が鬼を門外に追い出し、鼓の音で厄除けを知らせるのが特徴的です。また、追儺の過程では春や秋の司召に漏れた者を任官する儀式も行われており、これが追儺の除目と呼ばれます。

追儺の行事は、方相氏の役割が変わっていく過程でも興味深いです。平安時代には桃や葦を利用した弓矢を鬼ではなく方相氏に向けて使用する描写が見られるようになり、鬼を示す役割が移り変わっていきました。侲子たちの衣装は青紺色が一般的で、彼らは鬼を追い払う存在から次第に鬼としての役割が強調されるようになっていきます。

追儺はまた、子供の遊びである鬼ごっこの起源ともされ、民俗学者の柳田國男はこのことについて言及しています。ただし、追う者と追われる者の役割の変化に関する意見もあり、それについては異なる学説が存在します。

歴史的背景

追儺の概念は中国においても古く、『論語』にもその言葉が見られるように、必ずしも大晦の一日だけに行われる儀式ではにいかなく、年に三度行う三時儺という形が存在しました。これが後に大晦日行事へと変化したとされています。権力のある王朝の儀式にも取り入れられ、方相氏の舞は時代と共に発展しながら消失もしていきました。

日本においては、706年には疫鬼払いを行った記録が見られ、これが追儺の原型と考えられています。桃や葦を用いた弓矢はこの儀式においても重要で、中国からもたらされたものであり、魔除けの効果を持っていました。宮中での儀式から次第に衰退していく中で、追儺という言葉は一般的に鬼を払い除けるための多くの行事で用いられるようになり、特に節分の豆まきなどでその姿を見せています。

さらに、平安時代以降には各地の寺社でも追儺が行われるようになり、古典的なスタイルの復活を試みる動きも見られます。このように、追儺は時代や地域によって変化しながらも、多くの人々に愛され続けている重要な文化行事であると言えるでしょう。

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