除目

除目（じもく）について

除目は、平安時代中期以降の日本において、各種官職を任命する際の儀式及び行事を指します。この行事は特に京官や外官と呼ばれる官職に対するもので、任命された人々を記した帳簿である除書とも関連しています。言葉の「除」は前の官職を外し、新たな官職に任じる意味を持ち、「目」はその職を目録として記載することを示しています。

除目の実施と儀式

除目の儀式は、年に2回行われる春と秋の定例行事で、それぞれ春の除目と秋の除目と呼ばれています。加えて、必要に応じて小規模な臨時の除目も実施されることがあります。これらの儀式は非常に厳密な作法が定まっており、紙の折り方や墨の磨り方など、細部にわたって手順が決められています。

任官の儀式では、個々の官職が名前と共に呼ばれることを「召名（めしな）」と呼び、呼ばれた者は「オウ」と応じることから「称唯（いしょう）」と言われています。これらの儀式と行動は、平安時代の官僚制度を支える重要な要素でした。

除目の種類

除目にはいくつかの異なる種類が存在し、それぞれに特徴があります。以下に主な除目の種類を説明します。

春の除目

春の除目は、地方の国司などの外官を任命するために行われます。毎年正月11日からの三夜にわたり、清涼殿において公卿が集まり、任命の審議をします。任命は地域の官から始まり、徐々に高位の官職へと進んでいきます。この儀式は、天皇の御料地に由来し「県召の除目」とも称されます。

秋の除目

秋の除目は、京にいる官吏を主に任命する儀式で、大臣を除くさまざまな官職が対象となります。この行事は元々春に行われていましたが、平安中期以降は秋の8月に実施されるようになりました。在京の官を任じることから「内官の除目」とも呼ばれています。

その他の除目

• - 追儺召の除目: この除目は12月の追儺の儀式で行われ、春や秋の除目で任官されなかった者が対象となります。
• - 小除目: 定例の春と秋以外に、臨時的に行われる小規模な除目を指します。
• - 一分召の除目: 史生や国博士、国医師などの特定の官職を任命するための除目です。
• - 兼官の除目: 大臣の節会後に、兼任する官を定めるための臨時の除目です。
• - 女官の除目: 後宮に仕える女性官人を任命する行事です。
• - 祭りの除目: 賀茂祭に際して供奉官を任じる除目です。
• - 坊官除目: 立太子式の役人を任命するための除目です。
• - 宮司除目: 皇后や中宮に関する官人を任命する儀式です。

文学作品における除目

清少納言の『枕草子』第23段において、「除目に司得ぬ人の家」という表現が見受けられます。これは除目の日に任官を待つ家々の緊張感と喜びを生き生きと描写しています。除目は、平安時代における人事の大きな変化を象徴する重要な儀式であったことがうかがえます。

まとめ

除目は平安時代の官僚制度において欠かせない儀式であり、その実施方法や種類は多岐にわたります。この行事は、当時の政治や社会生活に深く結びついており、当時の人々にとって重要な意味を持っていました。

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