追想 (1956年の映画)

映画『追想』の概要

『追想』（ついそう、原題: Anastasia）は、1956年に公開されたアメリカのドラマ映画で、アナトール・リトヴァクが監督を務めました。出演者にはユル・ブリンナーとイングリッド・バーグマンが名を連ねています。この映画は、ロシア帝国のアナスタシア皇女が生き延びたという都市伝説に基づき、マルセル・モーレットの1955年に発表された戯曲『アナスタシア』を映画化したものです。

ストーリーの背景

物語は、ロシア帝国の皇帝ニコライ2世とその家族が十月革命後にボリシェヴィキにより殺害されたとされてから10年の時を経たフランスを舞台に描かれます。元々ボリシェヴィキに対抗していたロシアの元将軍ボーニンは、この混乱の中で自らの富を追求するために、アナスタシア皇女の遺産である1000万ポンドのロマノフ家の財産を狙います。彼は街で出会った記憶を失った女性、アンナ・ニコルを生存が噂されるアナスタシアと仕立て上げることを決心します。

ボーニンは、アンナにさまざまな訓練を施し、アナスタシアの特徴を学ばせ、彼女を皇女としての立ち振る舞いをさせようとします。こうして整えられたアンナは、皇太后と会うための準備を進め、最終的にはデンマークで待ちわびる皇太后との「涙の対面」を果たすことになります。

アンナの葛藤

しかし、皇太后との再会の際、ある小さな咳をきっかけに、彼女が本物のアナスタシアでないことに皇太后は気付いてしまいます。ボーニンは、資産目的でポール公との婚約を計画し、アンナと自身の関係は当然ながら計算されたものでした。しかし、時間が経つにつれてボーニンはアンナに惹かれていき、二人の間には愛情が芽生えていきます。この予想外の感情の変化が、物語に緊張感を与えます。

婚約発表の日、アンナとボーニンは姿を消し、皇太后は孫娘の失踪に困惑します。知っていた皇太后は、事態を収拾するためにポール公と共に会場に向かいます。そこから物語はクライマックスへと進み、彼女は観客に向けて「芝居は終わった。家にお帰りなさい」と告げます。

映画の受賞歴と影響

『追想』は、アカデミー賞でイングリッド・バーグマンが主演女優賞を受賞し、その名作としての地位を築き上げました。また、1997年には同じくアナスタシアを題材にしたアニメ映画『アナスタシア』も公開され、ストーリーに類似点が見られました。映画の中で描かれる人間ドラマや、歴史的背景、さらには人間の愛と葛藤が交差することで、多くの観客に愛され続けています。

このように『追想』は、歴史的な事象を背景にしつつも、普遍的なテーマである愛や真実を探求するストーリーを展開し、観客に深い感動を与える作品となっています。

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