逃げて来たライオン

トムとジェリーと臆病ライオンの大騒動！『逃げて来たライオン』

1950年公開のトムとジェリーシリーズの一つ、『逃げて来たライオン』(別名『逃げ出したライオン』)は、予測不能な展開と笑いに満ちた作品です。本作では、いつものトムとジェリーの追いかけっこに、予想外の第三者、サーカスから脱走したライオンが加わります。

物語は、ジェリーがトムから逃げ込んだ地下の物置から始まります。トムがラジオを聞いていると、サーカスからライオンが脱走したという緊急ニュースが流れ、トムは家中の戸締りを強化し、猟銃まで構えてしまいます。

一方、ジェリーはトムの様子に驚きつつも、物置に隠れる間もなく、家の中に逃げ込んできたライオンと遭遇します。しかし、このライオンはニュースで報道された凶暴なライオンとは全く異なり、臆病で弱気な性格の持ち主でした。ライオンはジェリーに助けを求め、故郷のアフリカへ帰ることを切望しているのです。

ライオンの切実な願いを聞き入れたジェリーは、台所から大きな骨付きハムを持ってきました。しかし、そのハムはトムに見つかり、奪われてしまいます。トムがハムを食べる間隙をぬって、ライオンはハムを骨だけにして食べてしまうのです。

さらに、トムは猟銃を発砲しますが、ジェリーの策略により、方向がずれてしまいます。ジェリーの巧みな演技とライオンのまさかの行動によって、トムは混乱を極めます。

ジェリーを追い詰めるトムでしたが、暗くて狭い物置部屋で、隠れていたライオンに襲われ、ボコボコにされてしまいます。ライオンに襲われたことに気づかないトムは、ジェリーが突然強くなったと勘違いし、恐怖のあまり家から逃げ出してしまいます。

最後にジェリーは、港町でアフリカへ向かう船を見つけ、ライオンを乗船させ見送ります。船が岸壁を離れる際、ジェリーとライオンは互いに別れを惜しみ、手を振り合う感動的なシーンで幕を閉じます。

登場キャラクター

トム: ライオン脱走のニュースを聞き、家を守ろうと必死になるも、ジェリーとライオンの策略に翻弄され、最後は家から逃げ出す羽目になります。ライオンに襲われたにも関わらず、最後までジェリーを追い掛け回す姿は、彼の執念深さとコミカルさを際立たせています。
ジェリー: ライオンを助けるために奔走し、機転と勇敢さで危機を乗り越えます。持ち前の知略でトムを出し抜き、ライオンをアフリカへ送り出すという、頼もしい活躍を見せます。
* ライオン: サーカスを脱走したライオンは、臆病で弱気な性格。サーカスの音楽とポップコーンの音が苦手で、故郷のアフリカを恋しがっています。ジェリーの優しさに触れ、最後は感謝の気持ちを表してアフリカへと旅立ちます。

作品の魅力

本作は、トムとジェリーの定番の追いかけっこに加え、予想外の展開と、個性豊かなキャラクターたちが織りなすドタバタ劇が見所の作品です。ライオンの意外な性格や、トムのコミカルな行動、そしてジェリーの機転の効いた対応など、様々な要素が絶妙に組み合わさり、見ている者を飽きさせません。ラストシーンの、ジェリーとライオンが別れを惜しむシーンは、ユーモラスな展開とは対照的に、心温まる感動を与えてくれます。また、ラストシーンで使用されている「蛍の光」は、作品全体の雰囲気をさらに高めています。

『逃げて来たライオン』は、トムとジェリーシリーズの中でも、特に記憶に残る名作の一つと言えるでしょう。

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