逆向き列車

『逆向き列車』とは

『逆向き列車』（ぎゃくむきれっしゃ）は、2014年にテレビ東京系列で放送されたバラエティ番組です。朝の通勤風景の中で、駅のホームに立つ会社員にリポーターが突然声をかけ、「今日一日、仕事を休んで好きな場所へ旅に出ませんか？」と提案する、斬新な内容でした。多忙な日々を送る「働く人たち」に、心のどこかに抱えていたかもしれない“夢の非日常”を体験してもらうことに焦点を当てた番組企画です。

ユニークな企画内容

この番組の根幹をなす企画は、通勤中の人々へのアプローチです。もしリポーターからの突然の提案に応じて休暇を取得し、旅に出ることに同意した場合、その旅行にかかる費用はすべて番組側が負担しました。さらに、参加者の所属する企業のPR映像を番組内で紹介するという、企業側にとってもメリットのあるユニークな特典も用意されていました。働く人々が、日々のルーティンから突如解放され、予期せぬ旅へと出発する、その驚きや喜び、そして旅先での様子を密着レポートする形式で進行しました。

シリーズ展開

2014年を通じて、『逆向き列車』はいくつかのシリーズやスペシャル版が放送されました。

逆向き列車（1）

番組はまず、2014年2月にテレビ東京の深夜番組枠「ソコアゲ★ナイト」の月曜版として、全4週にわたり放送されました。この初期シリーズでは、関東の京浜急行電鉄沿線と近畿の近畿日本鉄道沿線の駅でロケが行われました。放送中には、企画に同意してくれる人を探すのが関東では非常に困難だったのに対し、近畿ではわずか30分で見つかった、という興味深いエピソードが語られ、地域による反応の違いが垣間見えました。

逆向き列車リターンズ

2014年4月13日深夜には、単発のスペシャル版として放送されました。ちょうど年度替わりの時期に撮影が行われたためか、企画に同意してくれる人との出会いが難航し、過去に取材した「富士山編」の映像が放送される異例の事態となりました。

さぁ、明日は月曜日

2014年7月27日には、ゴールデンタイムのスペシャル番組として、テレビ東京系列で全国放送されました。この回は「日本を支える『働く人たち』に夢の非日常を体験してもらう」というテーマを掲げ、『逆向き列車』企画に加え、いくつかの新コーナーが加わった拡大版として構成されました。

逆向き列車: レギュラー版と同様の内容ですが、ロケ地が京浜急行電鉄、近畿日本鉄道に加え、東武鉄道、名古屋鉄道にも拡大されました。
午後休、ぜいたくランチ: 昼休みの会社員に声をかけ、「午後の仕事を休んで、食べたいランチを本場で食べよう（例：うどんを食べに香川へ）」と提案。こちらも旅費は番組負担です。
* 夜8時のスーパーサラリーマン: 夜のスーパーで、一人で夕食をとる予定の会社員にリポーターが声をかけ、一緒に食事や晩酌を提案する企画です。

逆向き列車（2）

2014年10月1日深夜には、単発番組として放送されました。テレビ東京系列に加え、びわ湖放送、テレビ和歌山でも同時ネットされました。この回は京浜急行沿線と名古屋鉄道沿線でロケが行われました。

逆向き列車スペシャル

2014年11月12日には、再びゴールデンタイムでスペシャル番組が放送されました。この回には、『逆向き列車』に加え、商店街で買い物をしている主婦に声をかけ、夜24時まで自由に過ごしてもらうという新企画「一夜限りのシンデレラ」が登場しました。

逆向き列車スペシャル（2）

2014年12月26日深夜には、年末スペシャルとして放送されました。『逆向き列車』、「一夜限りのシンデレラ」に加え、居酒屋の酔客にその場で片思いの相手に電話で告白してもらう「酔った勢いで愛の告白」というユニークな新企画も登場。告白が成功した場合は、その場の飲食代が番組負担となりました。『逆向き列車』企画のロケは京浜急行電鉄と首都圏新都市鉄道沿線で行われましたが、年末の繁忙期だったためか企画に同意してくれる人が見つからず、9月に取材した「沖縄編」の映像が放送されることとなりました。

出演者・スタッフ

番組には、SHELLYや高橋真麻といったゲストMC陣、そして前田健、ヒロシ、飯尾和樹、矢部美穂など、バラエティ豊かなリポーター陣が出演し、企画を盛り上げました。ナレーションはレギュラー放送を優香が担当し、スペシャル版では安めぐみが務めました。番組制作は、構成、技術、美術、音響効果、CG、編集、MA、そしてプロデューサーやディレクター陣など、多くのスタッフによって支えられました。

番組の魅力

『逆向き列車』は、働く人々の「もし、突然仕事が休みになったら…」という潜在的な願望を具現化する企画が魅力でした。予期せぬ形で日常から解放され、文字通り「逆向き」の方向へ旅立つ人々の戸惑いや決断、そして旅先で見せる素顔や感動を通して、多くの視聴者が共感や非日常への憧れを感じられる番組でした。短い期間ながら、そのユニークなコンセプトと人間ドラマを描く姿勢で、視聴者の記憶に残るバラエティ番組となりました。

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