逆櫓の松

逆櫓の松：源平合戦の歴史的舞台

大阪府大阪市福島区福島付近にあったと伝えられる老松、「逆櫓の松」。平安時代末期、源平合戦における義経と景時の有名な論争の舞台として知られています。その歴史、そして現在に残る痕跡について探っていきましょう。

源平合戦と運命の軍議

元暦2年（1185年）2月、源頼朝の命を受けた源義経は、平家追討のため摂津国の渡邊津に兵を集結させました。『平家物語』によると、義経と家臣の梶原景時は、この地にある大松の下で重要な軍議を行いました。

景時は、敵に備え、船に櫓を取り付け、容易に方向転換できるようにすることを提案しました。これは、状況に応じて迅速に撤退できるよう備えるという、現実的な戦略でした。しかし、義経はこれを退けました。義経は、出発前から退却を想定すること自体、縁起が悪いと考えたのです。この意見の対立は、義経の勇敢さと、景時の慎重さを象徴する出来事として歴史に刻まれました。

暴風雨の中に出航、そして屋島への奇襲

2月16日、激しい暴風雨に見舞われました。景時は出航を延期しようと進言しましたが、義経はわずか5艘、150騎という少数精鋭の兵を率いて、嵐の中、出航を決断しました。通常3日かかる航路を、わずか6時間で阿波国勝浦に到着。平家の本拠地である屋島を奇襲し、大きな勝利を収めました。逆櫓の松の下で行われたこの議論が、後の戦況に大きな影響を与えたことは間違いありません。義経の決断力と、その後の見事な勝利は、日本の歴史における重要な出来事の一つとして語り継がれています。

現在：歴史の痕跡をたどる

現在、逆櫓の松そのものは枯れてしまい、その姿を見ることはできません。しかし、その歴史的意義を伝える「逆櫓の松址」碑が、マンション ドミール堂島（福島2-2-4）の敷地内に残されています。碑には、第二次世界大戦の空襲による焼損の痕跡が残っており、歴史の重みを感じさせます。この碑は、かつてこの地に存在した老松、そしてそこで行われた重要な軍議、そして屋島への奇襲作戦といった歴史的出来事を後世に伝えています。

アクセス方法

歴史の舞台となった「逆櫓の松址」を訪れたい方のために、アクセス方法をご案内します。

鉄道
JR西日本 東西線 新福島駅：徒歩5分
JR西日本 大阪環状線 福島駅：徒歩7分
阪神本線 福島駅：徒歩5分
京阪中之島線 中之島駅：徒歩5分

これらの駅から徒歩圏内にあり、アクセスしやすい場所にあります。歴史に興味のある方は、ぜひ訪れて、源平合戦の歴史に思いを馳せてみてください。

関連事項

屋島の戦い
* 源義経

この地を訪れることで、歴史書の中で読んだ出来事が、現実として感じられるでしょう。当時の情景を想像しながら、静かに歴史に思いを馳せる、貴重な時間となるはずです。

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