通常動力型潜水艦

通常動力型潜水艦の概要

通常動力型潜水艦とは、原子力を利用しない潜水艦のことです。原子力潜水艦が登場する以前はこの用語は存在しませんでしたが、現代においても多くの国で主力の潜水艦として活用されています。通常動力型潜水艦は、動力源や運用において特有の特徴があります。

動力の仕組み

通常動力型潜水艦は、主に4ストロークのディーゼルエンジンとそれに関連する鉛蓄電池、電動機、発電機を組み合わせたシステムを利用しています。ディーゼルエンジンは水上や浅い深度での航行時に発電をし、必要に応じて蓄電池も充電します。しかし水中では、燃焼に必要な空気が限られているため、ディーゼルエンジンの使用は制約されます。そのため潜水艦は、蓄電池からの電力を使って電動機を駆動させることで推進力を得る必要があります。

この仕組みを利用した的方法を「ディーゼル・エレクトリック方式」といい、優れた燃費と出力のため、多くの潜水艦がこの形式を採用しています。

通常動力型潜水艦の制約

とはいえ、潜水艦が戦闘用に使用される際には、この潜航時間の制約が大きな短所となります。例として、第二次世界大戦中のドイツ海軍のUボートや日本海軍の潜水艦は、敵の対潜哨戒機や艦船からの攻撃を受け常に危険と隣り合わせでした。こうしたリスクを軽減するために、ドイツはシュノーケルを開発し、水中でも充電ができるよう努めましたが、これは浅い水深でしか機能せず、後にイギリスによる新しいレーダー技術に捕捉されるようになりました。また、過酸化水素を利用する非大気依存推進機関（AIP）なども試みられましたが、当時の技術では根本的な解決には至りませんでした。

さらに通常動力型潜水艦は、航続距離や速度の点でも原子力潜水艦に劣り、長期間の潜行は難しいという課題があります。ただし近年では、燃料電池などのAIP機関が導入され、数週間の連続潜航が可能になっています。とはいえ、原子力潜水艦の長期間にわたる持続性や効率性にはかなわない現状です。

定義の変化と特性

このような理由から、通常動力型潜水艦は、水面を浮かぶことが基本であり、潜水することができる艦として「可潜艦」とも呼ばれています。真の意味での潜水艦は、原子力潜水艦の登場によって実現されたと言えるでしょう。

それでもなお、通常動力型潜水艦には多くの利点もあります。原子力潜水艦に比べて静かで、建造費、運用費、解体費用が比較的安価です。また、放射能に関連した事故のリスクがないため、安全性も高く、取り扱いや処分が容易です。

日本の海上自衛隊では、「そうりゅう型潜水艦」においてAIP機関にスターリングエンジンを用いており、これは世界的に注目を集めていますが、出力の問題から一部艦では通常の鉛蓄電池に置き換えられています。続く「たいげい型潜水艦」でも同様の措置が講じられました。

通常動力型潜水艦の今後

今後も通常動力型潜水艦は多様な技術革新により進化を続けていくでしょう。特にリチウムイオン蓄電池のような新技術の導入は、効率性や性能向上に寄与しています。これらの特性と運用におけるメリットを最大限に活かすことで、今後も重要な役割を果たし続けると期待されています。

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