通称号

通称号の概要とその歴史

通称号（つうしょうごう）は、日本の陸軍において部隊名を隠すために用いられた暗号名の一つです。これは特に第二次世界大戦の時期において重要な役割を果たしました。通称号は、一般的に部隊の教育や連絡に関わる部隊名称を秘匿する目的で制定されていました。通称号には、特定の部隊に割り当てられた固有の漢字が一文字または二文字と、それに続く番号があり、これらは「兵団文字符（へいだんもじふ）」および「通称番号（つうしょうばんごう）」として知られています。この制度は、1945年4月20日に制定された「陸軍部隊戦時通称号規定（陸機密第143号）」に基づいています。

通称号の構造

通称号は、師団や独立混成旅団以上の部隊に固有の漢字の符号を付与し、その下部隊には番号を与えることで区別される仕組みです。例えば、帝国陸軍の「高9124部隊」は、「高」が文字符であり、「9124」が戦隊の通称番号です。また、戦時中には部隊名の変更が頻繁に発生し、指揮官が交代した場合には、新たに文字符が割り当てられることがありましたが、通称番号は基本的に変更されません。

制定の背景

平時では部隊の正式名称が隠される必要がないですが、戦時中では敵にその動向を探られることへの恐れがあり、部隊名の秘匿が求められるようになりました。特に満州事変以降、1937年の「動員部隊の称呼名に関する件」により、外地に駐留する部隊に部隊指揮官の姓からなる名称が付けられました。しかし、戦局が複雑化し指揮官の交代が多くなると、部隊名を都度変更する必要が出てきます。このため、1940年からは部隊に一文字の漢字文字符が割り当てられる形になりました。

文字符の使用

通称号は外地だけでなく、内地の軍管区隷下に位置する部隊や留守部隊にも適用されました。内地部隊では、所属した軍管区の名称を文字符に用いることが一般的でしたが、戦争が進むにつれて一文字では不足する部隊も出てきました。そのため、二文字の漢字が使われるようになり、編成された部隊の漢字文字符は当初の目的である名称の秘匿を果たしながらも、特定の地域や兵種に由来する場合もありました。

郵便・電報での利用

将兵の家族が戦地にいる家族へ集まり、通称号を通じた郵便や電報の送付が実施されました。これにより、通称号が終戦後には未帰還軍人を探す手掛かりの一つとして機能し、家族は厚生省を通じて所属する部隊を調べることができました。通称号は単なる暗号名ではなく、軍人とその家族の関係においても重要な位置を占めていました。

まとめ

通称号は日本陸軍の部隊名を秘匿するための重要な制度であり、その設立と運用は戦時下の複雑な事情に根ざしています。通称号は単なる名称の変更に留まらず、部隊の機密を守るために工夫されたシステムであり、同時に兵士とその家族の間のって適用に大きな影響を与えました。歴史的に見ても、通称号は情報の秘匿と部隊の機能に重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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