通船川

通船川（つうせんがわ）

新潟市東区を流れる通船川は、阿賀野川と信濃川を結ぶ全長約8.5kmの一級河川です。その歴史は、江戸時代に阿賀野川の治水と水運のために開削されたことに始まります。

歴史

開削と水運の隆盛

かつて阿賀野川は、複雑な流れで洪水を繰り返し、流域の開発を妨げていました。1730年、新発田藩は阿賀野川を日本海へ直接流すため、松ヶ崎に掘割を開削しましたが、翌年の洪水で決壊。その後、旧流路は「通船川」と名を変え、両河川の水運に利用されました。1773年には流路の整備が行われ、明治時代には蒸気船による舟運が盛んになり、新潟市と周辺地域を結ぶ重要な交通路となりました。イザベラ・バードの紀行にも「新川」として記録が残っています。

舟運の衰退と水質悪化

しかし、鉄道や道路の発達、信濃川の分水による水位低下などにより、蒸気船による舟運は昭和初期に衰退しました。戦後、通船川流域では工場の進出や宅地化が進みましたが、下水道整備の遅れから生活排水が流れ込み、水質は著しく悪化。特に下流部ではヘドロが堆積し、「ドブ川」と揶揄されるほどでした。

現在

水質改善への取り組み

近年、新潟県と新潟市は、通船川と合流する栗ノ木川、鳥屋野潟の水質改善に取り組んでいます。しかし、依然として水質は良好とは言えず、課題が残ります。

木材筏曳航の終焉

通船川の中流部には、かつて県営貯木場があり、南洋材の保管場所として利用されていました。この南洋材の輸送は木材筏曳航で行われていましたが、2021年に終了。これにより、国内から木材筏曳航は姿を消しました。

その他の特徴

阿賀野川からの取水部には津島屋閘門排水機場があり、流入量を調整しています。また、河口付近には山の下閘門排水機場と、都市・地域再生等利用区域に指定された「河口の森」が広がっています。通船川は、過去の水運の歴史、環境問題、そして近年の変化など、様々な側面を持つ川と言えるでしょう。

脚注

外部リンク

主な河川事業 通船川（新潟県新潟地域振興局 地域整備部）
通船川・鳥屋野潟激特事業概要 新潟県土木部 河川管理課
平成10年8月4日水害対策事業 新潟県土木部 河川整備課
山の下閘門排水機場 新潟県新潟地域振興局 地域整備部
洪水で通船川、栗ノ木川が氾濫した場合の浸水区域 国土交通省北陸地方整備局 信濃川下流河川事務所
つうくり市民会議（平成27年4月～つうくりまちづくりの会） 新潟県新潟地域振興局 地域整備部
ふるさとレポート「通船川歴史散策」 新潟県新潟地域振興局 企画振興部
新潟文化物語：信濃川と阿賀野川を結ぶ、川の街道・通船川 - 新潟県文化振興課
にいがた土木構造物めぐり 第9回 山の下閘門排水機場 - 土木学会関東支部新潟会
通船川の再生プランづくり（国土交通省）
* 阿賀野川え～とこだ! 流域通信：新潟市東区を流れる“通船川”を見てきました!

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