鳥屋野潟

鳥屋野潟：自然と歴史が織りなす新潟の潟

新潟市中央区に位置する鳥屋野潟は、信濃川水系に属する潟です。新潟駅からほど近い場所にありながら、豊かな自然と歴史を秘めた、新潟市民にとってかけがえのない場所となっています。

越後平野の成り立ちと鳥屋野潟

鳥屋野潟を含む越後平野は、信濃川と阿賀野川の長い年月をかけて堆積した土砂によって形成された沖積平野です。後背湿地や三角州、海岸砂丘といった多様な地形が存在し、特に新潟砂丘の形成は、この地域の排水に大きな影響を与えました。鳥屋野潟流域はかつて、ヨシ原が広がる低湿地帯「芦沼」として知られ、洪水も頻発していました。そのため、農業は困難を極め、「三年一作」と言われるほど収量の低い状態が続いていました。

治水事業と環境変化

1921年（大正11年）の大河津分水路の開通、そして1941年（昭和16年）からの国営土地改良事業により、鳥屋野潟周辺の環境は大きく変化しました。特に1948年（昭和23年）に完成した栗ノ木排水機場は、水位を1メートル以上低下させ、乾田化を実現しました。この事業は、当時「東洋一の排水能力」と称賛されたほど画期的なものでした。

しかし、昭和30年代には天然ガスの採掘に伴う地盤沈下や、1964年（昭和39年）の新潟地震の影響で、栗ノ木排水機場は機能を失いました。このため、1968年（昭和43年）には親松排水機場が完成し、現在も信濃川の水位より約3.2メートル低い水位を維持する役割を担っています。老朽化に伴い、2008年には新たな親松排水機場へと更新されました。

水質汚濁と改善への取り組み

鳥屋野潟は、新潟市の中心市街地と郊外の水田地帯に挟まれた地理的条件や、高度経済成長期における生活排水・農業排水の流入、下水道整備の遅れなどにより、水質汚濁の問題に直面しました。1971年（昭和46年）の公害対策基本法に基づき、水質汚濁に係る環境基準が設定され、その後、下水道整備の進展や市民・行政による積極的な取り組みによって、水質は改善されました。2002年には、初めて環境基本法の水質基準を達成するなど、着実な成果を上げています。

生態系と地域社会

鳥屋野潟は、鳥獣保護区に指定されており、「佐潟および鳥屋野潟を含む新潟砂丘湖沼群」として日本の重要湿地500にも選定されています。冬にはハクチョウなどの多くの渡り鳥が飛来し、地域の自然環境の豊かさを象徴しています。また、周辺には桜並木が整備され、春には花見の名所としても親しまれています。さらに、鳥屋野潟周辺には、新潟県立自然科学館、新潟県立図書館、新潟スタジアム（ビッグスワン）、HARD OFF ECOスタジアム新潟、いくとぴあ食花などの施設が整備され、スポーツ、文化、レクリエーションの拠点となっています。

歴史と開発

鳥屋野潟の歴史は古く、16世紀末には農民が入植し、新田開発が進められました。しかし、1732年（享保17年）には周辺農民の反対により、干拓計画は中止されました。その後、栗ノ木排水機場や親松排水機場といった治水施設の建設、周辺地域の開発、そして公園などの整備を経て、現在の姿へと変貌を遂げてきました。近年では、AIRMANスケートパークなどの新しい施設も建設され、鳥屋野潟周辺は、自然と都市が共存する空間として、更なる発展を続けています。

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