通風車

通風車とは

通風車（つうふうしゃ）は、特に生鮮食料品の輸送に用いられる貨車の一形態です。この車両は、1916年頃に最初に製造され、以降、時代に合わせて進化してきました。現代においては、その特性から非常に重要な役割を果たした貨車として知られています。

概要

通風車は、1916年に改造されたワ19110号形の有蓋貨車を基にして製造されました。最初は50両が製造され、実用試験を経てその後ツ1形へと進化しました。車両称号規程改正が行われた1928年（昭和3年）5月には、通風車は新たに「ツ」という名称で定義されました。これ以前、「ツ」という称号は土運車を表していましたが、通風車は正式に「ツワ」でカテゴライズされました。このような名称の変遷に注意が必要です。

通風車は有蓋車の一種で、特に換気に優れた特徴があります。車体の側面や床面には通風用のルーバーが多く設置され、屋根上にも通風器が見られます。この設計により、車両は走行中も常に換気を行い、快適な温度を保持しつつ運行されます。中には側面シャッターを閉じることで通常の有蓋車として使用できるものも存在し、それに伴い「ツワ」と標記されることもあります。さらに、一部の車両には折り畳み式の棚が設けられ、荷物の積載効率を向上させています。

用途

通風車は主に野菜や果物などの生鮮食料品を運ぶために使用されました。青果物は、アセトアルデヒドやエチレンなどのガスを放出し、温度変化にも敏感です。輸送中にこれらの食品が呼吸をすることで、車内温度が上昇しやすく、密閉状態の通常の有蓋車での輸送では品質が保たれませんでした。そのため、通風車の使用が推奨されていました。

しかし、通風車はその構造のため、普通の有蓋車に比べると雨水が入り込みやすく、その結果として車体の腐食が進むという欠点もありました。また、鉄道による貨物輸送はその性質上、迅速な配送には不向きであったため、1970年代後半からはモータリゼーションが進み、トラックやコンテナによる輸送に移行していきました。結果として、1985年にはツム1000形が形式消滅し、国鉄における通風車の種別が消えることとなりました。

通風コンテナと形式一覧

なお、鉄道用の通風コンテナは記号「V」で示されており、こちらも開閉機能を備えています。通風車の形式は全て二軸車で構成されており、ボギー車の製造は市場取引の単位が小さかったため実施されませんでした。

具体的な形式には以下のようなものがあります：

• - ツ1形（10トン積み）
• - ツ100形（10トン積み）
• - ツ400形（10トン積み）
• - ツ700形（12トン積み）
• - ツ1000形（10トン積み）
• - ツ1300形（10トン積み）
• - ツ1400形（10トン積み）
• - ツ2000形（10トン積み）
• - ツ2500形（10トン積み）
• - ツ4000形（10トン積み）
• - ツム1形（15トン積み）
• - ツム1000形（15トン積み）

このように通風車は、特に生鮮食品の輸送に特化した独自の役割を持つ貨車として、日本の鉄道史の中で重要な位置を占めていました。

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