逢坂冬馬

逢坂冬馬：歴史と文学、そしてミステリの融合

1985年10月8日、埼玉県所沢市に生まれ、横浜市で育った逢坂冬馬氏は、現代日本を代表する小説家の一人です。歴史学者の父とロシア文学研究者の姉という恵まれた環境で育ち、その影響は彼の作品世界にも色濃く反映されています。明治学院大学国際学部国際学科卒業後、小説家としての道を歩み始めます。

彼のキャリアは、2017年に早川書房に持ち込んだ『自由への翼』という作品から始まります。戦闘機パイロットを主人公としたこの作品は、第7回アガサ・クリスティー賞への応募を勧められるものの、二次選考で惜しくも落選。しかし、彼は諦めずに同賞への応募を続け、2021年、念願のデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』で第11回アガサ・クリスティー賞大賞を受賞します。更には史上初となる全選考委員満点という快挙を成し遂げました。

この作品は、小説投稿サイト「カクヨム」で期間限定公開された後、アガサ・クリスティー賞に応募され、大きな成功を収めました。その後も、『同志少女よ、敵を撃て』は数々の賞に輝きます。2021年にはキノベス!2022で1位を獲得し、翌2022年には第166回直木三十五賞候補にノミネートされるなど、高い評価を受けました。同年に本屋大賞、沖縄書店大賞、高校生直木賞と、主要な文学賞を次々と受賞する快進撃を遂げます。

『同志少女よ、敵を撃て』は、ミステリランキングでも高い評価を受けています。週刊文春ミステリーベスト10、このミステリーがすごい！、ミステリが読みたい！など、多くのランキングで上位にランクインし、その人気と実力を証明しています。

2023年には第二作目となる『歌われなかった海賊へ』を発表。同作品は、第15回山田風太郎賞候補にノミネートされ、ますます注目を集めています。また、姉である奈倉有里氏との共著『文学キョーダイ!!』も発表され、多方面で活躍を見せています。

彼の作品は、スリリングな展開と緻密な構成、そして深い人間ドラマが魅力です。歴史や文化への深い造詣、そして独特の視点が織りなす物語は、読者に強い印象を与えます。単なるエンターテインメントにとどまらず、社会や歴史、人間の本質について深く考えさせる要素も持ち合わせています。

今後、逢坂冬馬氏がどのような作品を生み出し、どのような道を歩むのか、目が離せない作家の一人と言えるでしょう。彼の今後の作品にも期待が高まります。

作品リスト

単著

『同志少女よ、敵を撃て』（早川書房、2021年11月）ISBN 978-4-15-210064-1
『歌われなかった海賊へ』（早川書房、2023年10月）ISBN 978-4-15-210275-1

共著

『文学キョーダイ!!』（奈倉有里と共著、文藝春秋、2023年9月）ISBN 978-4-16-391753-5

アンソロジー収録作品

『2084年のSF』（日本SF作家クラブ編、ハヤカワ文庫JA、2022年5月）「目覚めよ、眠れ」

雑誌掲載作品

小説：「同志少女よ、敵を撃て 受賞作冒頭特別先行掲載」- 『ハヤカワミステリマガジン』2021年11月号
エッセイ等：「受賞メッセージ」- 『ハヤカワミステリマガジン』2021年11月号
「第166回直木賞候補作発表 全候補者紹介・インタビュー」- 『オール讀物』2022年1月号
「祖父へ」- 『文藝春秋』2022年5月号
* 「「生の声」を提示する、アレクシェーヴィチの思想」- 『ユリイカ』2022年7月号

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