連合国遠征軍最高司令部

連合国遠征軍最高司令部（SHAEF）

連合国遠征軍最高司令部（SHAEF）は、1943年から1945年までの間、第二次世界大戦におけるヨーロッパ戦線を指揮していたアメリカ主導の連合軍の司令部です。この組織は、ドワイト・D・アイゼンハワー大将が最高司令官を務め、連合国の戦略的運営を一手に管理していました。SHAEFの職務は、欧州連合軍最高司令部や大西洋連合軍などの他の司令部と類似している面もありますが、組織の構成や運営方法には独自の特徴があります。

設立と主な活動

SHAEFは1943年12月、アイゼンハワーが地中海作戦から転任してロンドンのキャンプ・グリフィスにおいて設立されました。最高司令部の位置は今日でも「シーフ・ウェイ」として知られています。設立当初から、SHAEFの参謀たちはCOSSAC（連合国軍最高司令官参謀長）を通じて、オーバーロード作戦の計画を策定する任務を担っていました。この計画は、1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦の実施により具現化されました。アイゼンハワーは戦いの初期段階における全地上部隊の指揮をバーナード・モントゴメリー大将に委ね、彼との連携を図りました。

SHAEFはノルマンディーの上陸後にイギリスに残された部隊を指揮し、安定した軍事力の展開を進めました。侵攻が進む中で、モントゴメリーは全地上部隊の指揮を終え、イギリス第21軍集団の指揮官としてノルマンディーの防衛に当たりました。アメリカ第12軍集団も新たに設置され、オマール・ブラッドレー中将がその指揮を執りました。

作戦の推移

連合軍はノルマンディーを突破した後、ドラグーン作戦と呼ばれる南フランス侵攻を開始しました。この作戦はアメリカ第6軍集団が担当し、当初は地中海戦域の連合国軍司令部の指揮下にありましたが、すぐにSHAEFにその指揮権が移譲されました。その後、英第21軍集団は北部、米第12軍集団は中央部、そして米第6軍集団は南部での作戦を展開し、終戦まで連合軍の戦闘に従事しました。

1944年12月にはSHAEFの拠点がフランス・ヴェルサイユのトリアノン・パレス・ホテルに移転し、1945年2月にランスへ、その後、ドイツ降伏直後の5月26日にはフランクフルトへ移動しました。

戦闘序列

SHAEFは、アメリカ陸軍、自由フランス軍、イギリス陸軍、カナダ陸軍に属する3つの軍集団と合計8つの野戦軍を指揮し、西部戦線での作戦を展開しました。これらは、SHAEFの指揮下にあった最大の部隊編成であり、連合軍の作戦効率を最大限に高めました。主要な部隊には次のようなものがあります：

• - イギリス第21軍集団
• - アメリカ第12軍集団
• - アメリカ第1、3、9、15軍
• - フランス第1軍

また、ネプチューン作戦（上陸段階）には海軍や戦術空軍も関与しました。

指揮者

SHAEFの指揮系統には、アイゼンハワーの他に、アーサー・テッダー大将（最高司令官補佐）や各軍集団の指揮官が含まれていました。すなわち、バーナード・モントゴメリーはイギリス第21軍集団、オマール・ブラッドレーはアメリカ第12軍集団を指揮し、さらにはジェイコブ・ラックス・ディヴァースがアメリカ第6軍集団を率いました。

戦後の変遷

1945年5月、ナチス・ドイツが降伏した後、SHAEFは1945年7月14日に解散となりましたが、その機能はアメリカ軍のヨーロッパ戦域軍（USFET）が引き継ぎました。この部隊は1947年にヨーロッパ軍（EUCOM）と名称変更され、引き続きヨーロッパにおけるアメリカの軍事的存在感を維持していくことになります。

SHAEFの活動は、戦争を通じた連合国の勝利を支える重要な役割を果たし、現代の国際軍事戦略への影響を与えました。

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