連邦議会代表委員会

連邦議会代表委員会 (CRPH)

連邦議会代表委員会（CRPH）は、2021年2月1日にミャンマーで発生した軍事クーデターと、それに伴う国軍による権力掌握を正当と認めない立場をとる、ミャンマー連邦議会の議員有志が2021年2月5日に結成した政治組織です。

概要

CRPHは、クーデターにより設立された国軍主導の「国家行政評議会」に対抗し、ミャンマーの正統な主権を行使する組織として位置づけられています。設立当初は民主派による事実上の臨時政府として機能し、2021年4月16日に国民統一政府（NUG）が樹立された後は、NUGの立法機関としての役割を担っています。ミャンマー国内での反国軍運動や国際社会への働きかけを通じて、国軍支配体制への抵抗活動を主導しています。

本委員会は、2020年11月の総選挙で選出された議員を中心に構成されており、特に国民民主連盟（NLD）所属議員が多数を占めます。人民代表院（下院）から13名、民族代表院（上院）から4名の計17名（設立当初）の議員が参加しました。その後、NLD以外の民族政党に所属する議員も協力を表明しています。

2021年3月31日に策定された「連邦民主憲章」第2部の規定によれば、CRPHは2020年総選挙の結果に基づく連邦議会に代わり、暫定的に立法権を行使することが定められています。また、国民統一政府（NUG）の大統領、副大統領、首相、各大臣および副大臣を選任する権限も有しています。

国軍側はCRPHの活動を国家に対する「大逆罪」とみなしており、CRPHを支持しないよう国民に警告を発し、後には「非合法組織」であると宣言しています。

歴史

クーデター発生と国軍の措置: 2020年11月の総選挙結果を巡る国軍の「不正」主張の後、2021年2月1日にクーデターが発生し、翌2月2日に国家行政評議会が設置されました。
議員の抵抗とCRPH結成: クーデターを認めないNLD所属議員らが2月4日に議員宣誓を実施。これに続く形で、2月5日に議員有志によりCRPHが結成されました。
初期の声明と活動:
2月7日、国軍による政府転覆を「犯罪行為」と非難し、国軍内閣の正当性を否定する声明を発表。国際社会との連携を呼びかけました。
2月9日、アウン・サン・スー・チー国家顧問の任期を延長する法を施行。また、抗議デモへの暴力的な弾圧を非難し、市民不服従運動への支持を表明しました。
臨時内閣の組織: 3月1日、政府機能の麻痺に対応するため、事実上の臨時政府として独自の臨時内閣を組織し、複数の省庁を担当する閣僚代行を任命しました。
副大統領代行の指名: 3月9日、拘束された大統領らの職務を代行するため、元上院議長のマン・ウィン・カイン・タンを副大統領代行に指名しました。
国際的な法廷闘争への準備: 3月11日、国際司法裁判所への提訴を目指し、国軍の犯罪に関する証拠収集などで法的助言を得るため、英国の法律事務所との提携を発表しました。
国軍による非合法化: 3月21日、国軍側の国家統治評議会はCRPHを非合法組織とする決定を下しました。
連邦民主憲章の制定: 3月31日、2008年憲法の廃止を宣言し、暫定憲法としての「連邦民主憲章」の制定を発表しました。
国民統一政府（NUG）の樹立: 4月16日、CRPHは国民統一政府（NUG）の樹立を宣言しました。これにより、CRPHは臨時政府としての役割を終え、NUGの立法府となりました。NUGには、拘束下のウィン・ミン大統領とアウン・サン・スー・チー国家顧問が留任し、少数民族出身者も要職に就くなど、多様な構成となりました。

関連組織

国民統一政府（NUG）: CRPHがその立法機関となっている民主派の臨時政府。
国家行政評議会: クーデター後にミャンマー国軍が設立した統治機構。CRPHはこれに対抗。
ビルマ連邦国民連合政府（NCGUB）: 1990年総選挙後にNLDが組織した亡命政府。CRPHやNUGの先駆的組織。

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