進入灯

進入灯（Approach Lighting System, ALS）

進入灯は、航空機の着陸時に滑走路の中心線および進入方向を示すための灯火です。この灯火は、航空保安の重要な施設であり、夜間や悪天候時に特に重要な役割を果たします。日本の航空法においては、進入灯は「着陸しようとする航空機にその最終進入の径路を示すために進入区域内及び着陸帯内に設置する灯火」と定義されています。この定義からもわかるように、進入灯は滑走路に対する正確な進入を助けるために設置されています。

進入灯の点灯条件

進入灯は、着陸に使用される際には、夜間は常に点灯します。昼間においても、滑走路の状況が悪く計器気象状態（雲底高度300m未満または視程5km未満）の場合には、点灯されます。進入灯は強い光を発するため、航空機から視認しやすく配置されています。また、パイロットの視界を考慮し、航空管制官が明るさを調整できる設計になっています。

進入灯の種類

日本では、進入灯は以下の3つの方式に分類されます。
1. 標準式進入灯（Precision Approach Lighting System: PALS）
- 主に計器着陸用滑走路に設置されます。滑走路端から900mの距離にわたり、30mごとに白い灯器が並んでグライドパスを示します。また、300mの位置にクロスバーが設置され、滑走路端からの進入がわかりやすくなっています。さらに、60m以上の部分には連鎖式閃光灯（Sequenced Flashing Lights: SFL）が配置され、進入する方向から滑走路端の白い閃光が順次現れます。

2. 簡易式進入灯（Simple Approach Lighting System: SALS）
- 非精密進入用の滑走路に設置される進入灯です。滑走路端から420mの位置に60m間隔で灯器が配置され、滑走路中心線の延長方向で設置されます。灯器の色は赤、黄、白のいずれかで、可視性を考慮しています。

3. 組合せ式進入灯
- 精密進入用滑走路の反対側にSALSと進入灯台（Approach Light Beacon: ALB）を組み合わせて設置します。これにより、滑走路中心線の延長方向での可視性がさらに高まります。

進入灯の重要性

進入を行う際には、各タイプの進入灯ごとに進入限界高度や最低気象条件が定められており、進入灯の状況によってこれらの条件が変わることがあります。視界が悪く進入限界点まで何も見えない場合は進入を継続できませんが、それでも進入灯が見えれば進入を続行することが可能です。このように、進入灯は滑走路を視認する際の導き手として機能します。進入灯の存在は、航空機の安全な着陸に寄与しており、その重要性は計り知れません。

進入灯は、航空機の運航において必要不可欠な施設であり、その役割を理解することは、航空業界の安全性向上に繋がります。

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