進藤一馬

進藤一馬の生涯と功績

進藤一馬（しんとう かずま、1904年1月1日 - 1992年11月28日）は、福岡市で生まれた日本の政治家および実業家である。早稲田大学政治経済学部を卒業後、彼はさまざまな職務を経て、重要な政治的地位を築いた。生まれ故郷である福岡市において、進藤は特に福岡市市長としての功績で知られている。

学歴と初期のキャリア

福岡市の中野正剛秘書としてのキャリアをスタートさせた進藤は、1933年には東方会の総務部長に就任し、昭和19年には第10代玄洋社社長に昇進した。しかし、第二次世界大戦後には、GHQにより玄洋社が解散され、このポジションを失うこととなった。戦後の混乱期には、A級戦犯容疑者として一時拘留されるが、起訴されることなく釈放され、公職追放の憂き目に遭った。

自民党と衆議院議員としての活動

進藤は、自身の経験を基に政治の道に新たな一歩を踏み出した。旧秘書の後援を受け、1958年に自由民主党の公認を得て、福岡県第1区から衆議院議員として当選した。その後、通商産業および法務の政務次官を歴任し、地方政治への貢献を続けた。

福岡市市長としての四期

1972年、進藤は福岡市長選に立候補し見事当選。以降、彼は4期にわたって市長としての職務を全うした。人口が増加し、都市の発展が求められる中、進藤は福岡市を政令指定都市に成長させるための基盤を整える役割を担った。市長としての彼の政治活動には、都市のインフラ整備や地域の発展に寄与する施策が含まれていた。

進藤は、職務をほとんど部下に委ねたものの、彼のビジョンと指導力は福岡市の成長に大いに影響を与えた。1986年、健康上の理由から市長職を辞任し、その後は玄洋社記念館の館長を務め、地域の歴史に貢献した。1987年には福岡市名誉市民に選ばれた。

桜並木の逸話

進藤市長の時代に特筆すべきエピソードがある。それは、1984年に桧原の桜並木が伐採される危機にあった際の出来事である。この桜が切り倒されそうになった際、近隣住民が和歌を詠んで市長に訴えかけた。進藤はこの心情に触発され、多くの市民が彼に支持を寄せる中、工事を一時中止し桜を守るための協議を重ねた。最終的に、桧原の桜を残しながら道路の拡幅工事を進めることに成功し、福岡市民からは「花守り市長」と称えられた。この出来事は地域の風物詩として多くの人々に語り継がれている。

死去と遺産

進藤一馬は1992年に亡くなったが、彼の功績は今も福岡市に残り、彼が成し遂げた市の発展は地域の人々に誇りをもたらしている。また、福岡市美術館には彼を記念した銅像が設置され、その存在は彼の政治的功績と地域への貢献を象徴している。進藤の生涯は、福岡市の歴史において重要な役割を果たし続けている。

もう一度検索