遅発性筋肉痛

遅発性筋肉痛（DOMS）とは？

遅発性筋肉痛（DOMS：Delayed Onset Muscle Soreness）とは、激しい運動や普段と異なる運動をした数時間から数日後に、筋肉に痛みや硬直感が生じる症状です。筋肉を酷使した結果として起こるもので、日常生活に支障をきたす場合もあります。

DOMSの原因：伸張性収縮

DOMSの主な原因は、筋肉が伸ばされながら収縮する「伸張性収縮（エキセントリック収縮）」です。例えば、ベンチプレスでバーベルを下ろす動作や、坂道を下りる動作などが該当します。一方、筋肉が縮みながら力を発揮する「短縮性収縮（コンセントリック収縮）」では、DOMSはほとんど起こりません。

DOMSのメカニズム：未解明な部分も多い

DOMSのメカニズムは完全には解明されていません。筋肉の微細な損傷が原因という説もありますが、痛みを感じる神経終末は筋線維ではなく筋膜に存在するため、筋線維の損傷だけでは痛みを説明できません。

かつては、運動によって生じる乳酸が筋肉に蓄積し、酸素供給を阻害することで痛みを引き起こすという説が有力でしたが、血液中の乳酸値は運動後すぐに低下することなどから、この説には疑問が呈されています。

近年では、筋膜や筋肉組織の微細な損傷、炎症反応、筋線維の修復過程などが複雑に絡み合ってDOMSが生じると考えられています。

加齢とDOMS

加齢によってDOMSの発症や回復に変化が見られるという報告があります。加齢に伴い筋肉の回復能力が低下するため、筋肉痛の発生が遅くなったり、回復に時間がかかったりする可能性が示唆されています。しかし、この点については、研究結果によってばらつきがあり、さらなる研究が必要です。

DOMSの予防

DOMSを予防または軽減するためには、以下の方法が有効です。

運動前
十分な準備運動とストレッチ
適切なウォーミングアップ

運動後
急激な休息を避け、クールダウンとストレッチを行う
マッサージ

帰宅後
栄養バランスの良い食事
適度な入浴
冷えすぎないよう注意
就寝前の軽いストレッチ

DOMSの解消

DOMSは通常、数日かけて自然に解消していきます。痛みを和らげるために、以下の方法を試すことができます。

消極的休息
冷やす（アイシング）
適切な安静
温める（温浴、ホットパック）

積極的休息
軽度の運動（血行促進）
* ストレッチ（血行促進）

湿布を使用することもできますが、これは痛みを軽減するだけであり、筋肉の損傷を治癒するものではありません。無理をして症状を悪化させないよう注意が必要です。

トレーニングとDOMS

DOMSの強さはトレーニング量や時間と必ずしも比例しません。伸張性収縮を避けたトレーニングであれば、DOMSを軽減することも可能です。しかし、筋力強化や筋肥大を目的としたハードなトレーニングでは、DOMSは避けられない場合が多いです。

筋肉痛はトレーニングの効果を示す指標の一つとして捉えられがちですが、必ずしも筋肉痛がトレーニング効果と直結するわけではありません。効果的なトレーニングは、筋肉痛の有無にかかわらず、適切な運動強度と休息を組み合わせることが重要です。

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