遊戯の報酬

『遊戯の報酬』は、梶山季之が描く、人間の欲望と秘密が交錯する長編小説です。

物語の舞台となるのは、『耐性皮革研究所』という名の、一見すると欧風サロンのような館。そこには、上流階級と思われる人々が集い、優雅なひとときを過ごしています。館の主は、美貌の女性、志村千恵。しかし、ある日、彼女が死体となって発見されたことから、物語は急展開を迎えます。

千恵の弟である達夫は、姉の死に不審を抱き、独自に調査を開始します。その過程で、彼は『耐性皮革研究所』の恐るべき正体を知ることになります。それは、サディストやマゾヒストたちが集い、皮具を用いた快楽に耽る秘密クラブだったのです。

達夫は、姉の死の真相を突き止めるべく、クラブのメンバーたちと対峙します。その中で、彼は、事件を担当する刑事から、驚くべき真実を告げられるのです。欲望と快楽に溺れた人々の末路、そして隠された真実が、読者を物語の世界へと引き込みます。

登場人物
志村千恵（しむら ちえ）：『耐性皮革研究所』の主宰者。美貌の持ち主であり、物語の中心人物。
志村達夫（しむら たつお）：千恵の弟。姉の死の真相を追う。
黒瀬（くろせ）：殺人事件を担当する刑事。物語の結末で重要な役割を果たす。
大平正子（おおひら まさこ）：『耐性皮革研究所』で働く女中。クラブの秘密を知る人物の一人。
早川（はやかわ）：『耐性皮革研究所』の経営者。千恵の内縁の妻であり、複雑な背景を持つ。
教授・社長・大臣・先生：『耐性皮革研究所』の特別会員。社会的に高い地位を持つ人々。

書誌情報
『遊戯の報酬』 講談社 1967年
『遊戯の報酬』 ケイブンシャ文庫 1987年 ISBN 4-7669-0551-2

『遊戯の報酬』は、人間の欲望の深淵を覗き込み、その暗部を描き出した作品です。読者は、物語の展開に引き込まれ、最後まで目が離せないでしょう。ミステリーとしての面白さはもちろんのこと、人間の心理を深く掘り下げた描写も、読み応えのある作品となっています。

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