運輸政策審議会答申第18号

運輸政策審議会答申第18号は、2000年1月27日に運輸政策審議会によって取りまとめられた答申です。正式名称は『東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について』といい、東京圏における鉄道網の整備に関する重要な指針を示しました。

ここでいう「高速鉄道」とは、新幹線のような高速鉄道ではなく、JR在来線、私鉄、地下鉄などを包括した「都市高速鉄道」を指します。

答申の背景

東京圏の鉄道網整備は、1985年の運輸政策審議会答申第7号に基づき、2000年を目標に進められてきました。この結果、ピーク時の平均混雑率は改善されましたが、依然として以下のような課題が残っていました。

ピーク時の平均混雑率は、1992年の運輸政策審議会答申第13号で目標とされた150%に達していなかった。
個別の路線では、混雑率が200%を超える路線が多く存在した。
ピーク時のダイヤが線路容量の限界に近く、遅延時の回復に時間がかかる路線があった。
東京圏の夜間人口の郊外化により、通勤・通学の平均所要時間が増加した。
空港への鉄道アクセスが不十分であった。

これらの課題を踏まえ、1998年11月25日に当時の運輸大臣が諮問を行い、運輸政策審議会が審議を重ねた結果、2000年1月27日に答申第18号がまとめられました。

答申の概要

答申の主な内容は以下の通りです。

対象地域: 東京都心部を中心とした半径約50kmの範囲。
対象交通機関: 都市高速鉄道を中心に、モノレール、新交通システム、路面電車を含む鉄・軌道。
目標年次: 2015年。

答申では、整備対象とする路線について、以下の3つのランクに分類しました。

A1: 目標年次までに開業することが適当な路線
A2: 目標年次までに整備着手することが適当な路線
B: 今後整備について検討すべき路線

この答申は、その後の東京圏の鉄道網整備に大きな影響を与え、2016年には次期答申である「交通政策審議会答申第198号」が発表されました。

関連情報

交通政策審議会答申第198号: 2016年4月20日、交通政策審議会東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会が答申
大阪圏における[[高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について]]
名古屋圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について

外部リンク

平成12年1月27日運輸政策審議会答申第18号 東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について
同答申（抄） (PDF)
* 羽田アクセスで国が本当に作りたい路線は? お役所的な｢特有の表現｣で優先順位がわかる

答申第18号は、東京圏の鉄道網整備において重要な役割を果たしただけでなく、その後の政策にも大きな影響を与えました。この答申で示された課題や目標は、現在においてもなお、検討されるべき点が多く含まれています。

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